2013 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界二酸化炭素を用いたポリマー染着プロセスにおける物性値の解明
Project/Area Number |
23560905
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田村 和弘 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (20143878)
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Keywords | 化学工学 / 超臨界流体 / 環境技術 / 環境対応 / 高分子構造・物性 |
Research Abstract |
超臨界二酸化炭素を用いたポリマー染着プロセス技術の開発に必要となる,超臨界二酸化炭素に対する染料,抗菌性,難燃性,電磁遮蔽性を有する機能性物質の溶解現象のメカニズム,超臨界二酸化炭素雰囲気下でのポリマーの物性値変化および機能性物質のポリマーフィルムへの物質移動現象について明らかにした。以下の項目について研究成果を得ることができた。(1)超臨界二酸化炭素中での分散染料の溶解度を種々の条件下で測定可能とするために、流通式の装置を改良した。機能性物質にはアントラキノンを骨格とし、これに発色団(OH,CH3,NH2,Clグループ)を有する、三原色分散染料の単独成分および混合染料の溶解度測定を系統的に行った。その結果、温度範囲(80-110℃)、圧力範囲(10-25MPa)において、その溶解度の温度および圧力依存性を明らかにした。また、圧力により融点降下が生じ、固ー気平衡から液ー気平衡に変化する現象を見つけた。さらに、状態式を用いた熱力学的手法で、実験データを定量的に表現できることに成功しており、超臨界染色プロセス設計のための基礎物性データを得ることができた。(2)超臨界二酸化炭素下でのポリマーの可塑化効果を明らかにするため、IGC法(Inverse Gas Chromatography)に基づくポリマ-のガラス転移温度の測定装置を製作した。圧力15MPaまでのポリアクリル酸のガラス転移温度を測定し、圧力によるポリアクリル酸のガラス転移温度降下について明らかにした。また、平均分子量の異なるポリアクリル酸のガラス転移温度降下を調べ、分子量の小さいほど、ガラス転移温度降下が著しいことを明らかにした。さらに、S-L状態式に、ポリマ-の分子量分布を考慮したモデルにより、ガラス転移温度降下を定量的に表すことに成功しており、ポリマー成形加工における新たな知見を与えるものと考えられる。
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Research Products
(4 results)