2012 Fiscal Year Research-status Report
マイクロリアクター内のソノケミストリーとソノルミネッセンスの研究
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23560917
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
畑中 信一 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (40334578)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻内 亨 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (70357515)
安井 久一 独立行政法人産業技術総合研究所, 先進製造プロセス研究部門, 主任研究員 (30277842)
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Keywords | マイクロリアクター / ソノケミストリー / ソノルミネッセンス / 単一気泡キャビテーション / 気泡ダイナミクス / OHラジカル定量 / 新規反応場 / 省エネルギー |
Research Abstract |
ソノケミストリーとして知られる、液体への強力超音波照射による種々の化学効果を、マイクロリアクター内で生じさせることを目的とし、その反応場をスケールダウンしたときの影響について検討した。平成24年度は、平成23年度に引き続き、ソノケミストリーの反応源である気泡(キャビテーション気泡と呼ばれる超音波と同期して呼吸振動する微小な気泡で、崩壊時には瞬間的に数千度・数百気圧以上に達する気泡)について、通常は数千から数万個存在する気泡数を極限まで減らし、たった一個の気泡において、その化学効果を実験的に調べた。具体的には、水溶液中の単一気泡キャビテーションによって生じるOHラジカル量の定量、気泡内の高温高圧場の指標となるソノルミネッセンス(音響発光)の測光、および、対応する気泡ダイナミクスの観察を行い、それらの関係について考察した。 平成23年度では、空気の単一気泡(数秒後には気泡内ガスは空気に1%含まれるアルゴンが主になる)のOHラジカル量を測定したが、平成24年度は、純粋アルゴンガスの単一気泡でOHラジカルを測定した。その結果、純粋アルゴンガスの方がよりOHラジカル量が多かった。一方で、空気気泡では、亜硝酸イオンが検出され、窒素が分解されて反応し亜硝酸イオンとなっていることが示唆された。このとき、一部のOHラジカルが反応に使われ、OHラジカル量が減っていることが考えられる。なお、OHラジカルは酸化力が強く、ソノケミストリーにおける主要な反応物である。 また、気泡界面領域のOHラジカルを化学反応量の考察から見積り、界面領域ではOHラジカルはバルク液体よりも非常に高濃度になっていることが分かった。予備的な実験結果であるが、単一気泡キャビテーションの場合には、気泡界面のOHラジカル濃度はさらに高濃度になることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
単一気泡キャビテーションによるOHラジカル生成量は、通常のソノケミストリーにおける多数気泡キャビテーションによるものに比べて非常に少なく、さらに、単一気泡キャビテーションを得ること自体、大変テクニカルな実験技術を必要とするため、条件を変化させて定量データを得るには非常に時間を要する。 一方、マイクロ流路中にキャビテーションを起こすための予備実験を行ったが、うまくキャビテーション気泡が生じなかった。マイクロ流路に微粒子マニピュレーションのためのメガヘルツオーダーの超音波を導入するのは、すでに確立したが、キャビテーションをおこすためのキロヘルツオーダーの超音波を導入するためには、音響インピーダンスのマッチング等、さらなる検討が必要なことが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、マイクロ流路内の水溶液に超音波を照射して、キャビテーションを生じさせる条件を検討する。キャビテーションを生じさせる条件を明らかにした後、そのときに生成されるOHラジカル量を定量する。OHラジカルの定量法としては、平成23-24年度の研究から得た知見により、テレフタル酸定量法(テレフタル酸水溶液を用い、テレフタル酸が蛍光を持つヒドロキシテレフタル酸に変わることを利用した定量法)が最も測定感度が高かったことから、これを採用する。ただし、界面活性剤を同時に用いたときには、ヒドロキシテレフタル酸の蛍光スペクトルが変化し、テレフタル酸定量法が使用できないことも判明したため、このときには、スピントラップ剤を用いた電子スピン共鳴によるOHラジカル測定を行う(界面活性剤存在下でもOHラジカルが定量できることは平成23-24年度に確認済みである)。なお、ソノケミストリーにおいて、界面活性剤の添加により、反応源であるキャビテーション気泡のダイナミクスが変化し、反応効率が変化することが知られている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、マイクロ流路ガラスプレートと、成果発表にかかる旅費や学会参加費、論文投稿料等に使用する予定である。
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