2012 Fiscal Year Research-status Report
シリコンイオン液体中での過渡回折格子法による短寿命ラジカル種の拡散係数の測定
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23560918
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高橋 憲司 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (00216714)
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Keywords | イオン液体 / 拡散係数 / 過渡回折格子法 / シリコン / シロキサン / レーザー |
Research Abstract |
本年度は、シロキサン構造を持つピロリジニウム系シリコンイオン液体を新規に合成した。そして、その液中での拡散係数を、レーザー光を利用した過渡回折格子(Transient grating ; TG)法により測定を行った。 N-Methylpyrrolidineとシリル基を持つ塩化物を反応させて、塩素イオンをアニオンとするイオン液体を合成した。得られたイオン液体をジクロロメタン中でアニオン交換を行い、目的とするシリコンイオン液体を合成した。 TG法にはジフェニルシクロプロペノン(DPCP)の光解離反応を利用した。DPCPを355nmで光励起することでジフェニルアセチレン(DPA) と一酸化炭素(CO)が生成する。これらの分子のイオン液体中での拡散係数をTG法により測定した。 COのような小さな分子の拡散係数はストークスアインスタイン式の予測値より遥かに大きな拡散係数となることがわかった。この要因として、イオン液体は大きなサイズのカチオンとアニオンから成るため、分子間の空隙が大きく、COのような小さな分子はその空隙を拡散することが一つの大きな要因と考えた。そこで,イオン液体中の小さな分子の拡散に、空隙率の効果を取り入れるため、充填層内流れに使われるKozeny-Carmanのモデルを考えた。拡散係数は空隙率を考慮することにより比較的よく相関できることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画当初に予定していたイオン液体の合成に成功し,4種類の新規イオン液体を新たに合成した。そして,そのイオン液体中での分子拡散係数を過渡回折格子法を用いて測定に成功している。また,拡散する分子の大きさの違いにより,流体力学的近似が適用可能な場合と適用できない場合とを見出しており,おおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは主にイオン液体のカチオン構造に着目した研究を進めてきた。今後は,アニオンの分子構造に着目した研究を予定している。特に,これまで用いてきたNTf2アニオンは,窒素原子を中心として左右対称構造であるが,最近,窒素原子を中心として非対称分子構造のアニオンを用いることにより,イオン液体の粘度を低かさせることが出来る事が報告されている。そこで,これまでに合成したイオン液体のなかで,アニオンを非対称とした構造の新規イオン液体を合成し,そのイオン液体中での分子拡散係数を測定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当無し
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