2011 Fiscal Year Research-status Report
微小流路による電気銅めっき添加物の吸脱着速度解析とめっき析出形状予測法の確立
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23560922
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
齊藤 丈靖 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70274503)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 銅めっき / 添加剤 / ポリエチレングリコール / EQCM |
Research Abstract |
本研究では、めっき液の素早い置換が可能な微小流路装置を用いた、銅めっき用添加剤の変化による電流密度変動測定を行った。また、反応器容量300ulのフローセル型EQCMを用いて添加剤吸着による重量増加を測定した。このとき、水晶振動子(共振周波数:9 MHz、電極材料:Au、電極面積:0.196 cm2)を作用電極として-0.4 Vの定電位で銅めっきを行い、対極にはPt、参照電極にはAg/AgClを用いた。反応器の液流入口には切り替えコネクターがあり、めっき液組成を瞬時に切り替える事ができる。液流量は1 ml/minとした。めっき液組成は硫酸銅五水和物0.03 mM、硫酸0.09 mMであり、添加剤には、ポリエチレングリコール(PEG、分子量20000)、Cl-を用いた。 Cl- 50 ppm含む液からCl- 50 ppm + PEG 50, 500, 1000 ppmを含む液に切り替えたEQCM結果からPEG濃度が大きいほど吸着量は増加した。ここで、n: 重合度(454), L: モノマー長(0.44 nm), W: モノマー径 (0.30 nm)とし、PEG分子を球形と仮定すると、直径dは3.25 nmとなる。PEG分子が電極表面 (0.196 cm2) に直径dで最密かつ一層で吸着していると仮定すると、PEGの最大吸着数は1.85×1012 個となり、その重量は61.6 ngになる。EQCMで得られた重量変化量と計算で得られた最大重量を用いて、PEGの表面被覆率を求めた結果、50, 500, 1000 ppmでそれぞれ0.32、0.62、0.73となった。 電流密度変化から求めたPEG表面被覆率は50~1000 ppmで0.5~0.7であり、重量変化から求めた被覆率と同等であったことからPEGの電流遮蔽効果は重量に比例することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、フローセル型EQCMの立ち上げに苦労したが、各種添加物の濃度変化、流速変化による微小流路反応器/電気化学測定を通して、銅めっき中の添加物の吸着・脱着過程のモデル化を行い、速度定数という形で定量化することができた。また、流速による銅上のPEGの被覆率の変化、及び、SPSの有無による変化を解析することもできた。 但し、工業的に多く利用されている銅めっき添加剤であるヤヌスグリーンBや我々のグループが見いだした4級アミン類添加物を用いた実験までは到達できず、次年度の課題である。 微小流路反応器とフローセル型EQCMを用いて、銅めっき中添加物(ポリエチレングリコール、PEGを中心とした)の吸着・脱着の定量化を行うことができた。EQCMで得られた重量変化量と理論計算で得られた最大重量によるPEGの表面被覆率と電流密度変化から求めたPEG表面被覆率は50~1000 ppmの範囲でほぼ同等であったことから、PEGの電流遮蔽効果は重量に比例することが分かった。今後、液流速の拡大、添加剤同士の相互作用の解明を進めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
めっき液の素早い置換が可能な微小流路装置を用いた、銅めっき用添加剤の変化による電流密度変動測定の実験については、新規マイクロ送液ポンプを購入することによって、めっき液の流速範囲を広げて実験を進める。また、新しい添加剤に対して測定を加える。さらに、添加剤同士の相互作用に関するデータ蓄積を進めていく。 新規マイクロ送液ポンプを購入し、また、EQCMのセル内部を最適化することによって、めっき液中における成長表面上の吸着種の重量変化を測定する。そして、めっき液中の添加剤濃度、めっき液の流速などを変更して様々な実験データを取得する。銅めっき液中における添加剤の吸着挙動を重量の観点からより精緻に明らかにする。また、電流密度変動と吸着による重量変動との関係を複合して十分に考察を加え、めっき添加剤の相互作用や吸着種の電流遮蔽効果について検討を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、めっき液の流速範囲を広げるために、新しいマイクロ送液ポンプを購入する、また、フローセル型EQCMのセル形状を最適化し、より広範囲の実験条件でモデル化を進める。
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Research Products
(7 results)