2013 Fiscal Year Annual Research Report
有機官能基秩序配列を有したペプチド薄膜上での無機結晶析出の解析とその応用
Project/Area Number |
23560925
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
加藤 且也 独立行政法人産業技術総合研究所, 先進製造プロセス研究部門, 研究グループ長 (70356781)
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Keywords | ペプチド / 官能基 / リン酸カルシウム / バイオミネラリゼーション / 酸化チタン / ナノファイバー / 固層合成 / CDスペクトル |
Research Abstract |
本年度は、過去2年間のペプチド配列上でのリン酸カルシウム析出実験の知見に基づいて、他の元素(酸化チタン)のペプチドナノファイバー表面におけるミネラリゼーションを行った。今回用いるペプチドは疎水性のロイシン(L)、バリン(V)を交互に配しC末端側にポリエチレングリコール(PEG)を配した(LK)8-PEG70を用いた。このペプチドは溶液中でβ-シート構造由来のナノファイバーを形成する。このペプチドナノファイバーとチタン前駆体を水溶液中で混合しミネラリゼーションを行い、析出物の評価を行った。(LK)8-PEG70ペプチドはコンビナトリアルペプチド固相合成法から得た。具体的な実験方法は以下の通りである。0.2 mg/mLのペプチド水溶液(pH11.0)1 mLに50 mMのTitanium bis(ammonium lactato)dihydroxide水溶液100 μLを加え70度、24時間攪拌した。その後、遠心分離で洗浄し凍結乾燥させてサンプルを得た。コントロールとしてポリリジン(K10)、ペプチド添加なしの系も同様に行なった。析出物のSEM画像から、(LK)8-PEG70系では、3次元のナノファイバー構造であったのに対し、K10系では、バルク状の析出物が観察された。これらのモルフォロジーが有機物の形状に影響したいわゆる「テンプレート効果」によるものか確認するために、円偏光二色性スペクトル(CD)を測定した。pH11では、(LK)8-PEG70はβ-シート構造のナノファイバーであったのに対し、K10はランダムコイル構造であったため、有機物のテンプレート効果が示された。以上の結果から、本研究課題で行ったオリジナルなペプチドテンプレートを用いることで、リン酸カルシウムのみならず酸化チタンの構造も制御可能ということが明らかとなり、今後の機能性無機材料の合成手法に大きな指針となる。
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Research Products
(13 results)