2013 Fiscal Year Annual Research Report
開脚型ピラー錯体を利用した層状無機結晶空間への不斉触媒反応場の創製
Project/Area Number |
23560929
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
島津 省吾 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10178957)
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Keywords | 不斉水素化反応 / 粘土鉱物 / キラルピラー錯体 / アセトフェノン / キラル層間触媒 / ロジウム錯体 / インターカレーション / 開脚型錯体 |
Research Abstract |
本研究では層状結晶構造を持つイオン交換体(ホストイオン)に,開脚(Straddle)型不斉ピラー錯体(ゲストイオン)を組み込むことで固体不斉反応場を創製する。 1.Straddle錯体(Rh-Cn-(S)-CHDA錯体, n=4,6)とキラル層間触媒 Rh-Cn-(S)-CHDA/TNの合成:1)配位子合成:シクロへキシルジアミンと直鎖カルボン酸クロライドからキラル配位子を高純度で合成した。2)Straddle錯体の旋光度は,それぞれ,-109.9度(n=4)と-105.9度(n=6)であった。3):Rh錯体をテニオライトにインターカレートしたキラル層間触媒の層間隔は,それぞれ,1.78 nm(n=4)と1.98 nm(n=6)であった。 2.キラル層間触媒(Rh-Cn-(S)-CHDA/TN)を用いて,アセトフェノンの水素化反応を行った結果,enantioselectivityは,それぞれ,59.5%ee(n=4)および59.5%ee(n=6)であった。Straddle錯体の光学純度を高めることにより,著しく選択性を高めることに成功した。 3.アルキルアンモニウム修飾粘土鉱物層間にStraddle錯体をインターカレーとさせたキラル層間触媒の合成と不斉水素化反応:アルキルアンモニウム修飾したq-C8/LiTNに,ピラー錯体 (Rh-C10-CHDA)をインターカレートしたRh-C10-CHDA/q-C8/LiTN触媒において,TN層間距離はピラー錯体のインターカレーション量に比例して拡大することを見出した。この触媒を用いアセトフェノンの不斉水素化反応を応用すると,その不斉選択性は層間隔の拡大に比例して向上する傾向となった。Rh-C10-CHDA/q-C8/LiTN (10, 25 mol%)触媒は,そのピラー錯体及びピラー錯体をLiTN層間にインターカレーションした固体触媒を凌ぐ不斉選択性を達成した。(Rh-C6-CHDA/q-C8/LiTN(25 mol%)で,不斉選択性が53.3%ee)以上のことから,層間の拡大に加えて,アルキルアンモニウム-配位子間相互作用が層間内での配位子の直鎖状のコンフォメーションを剛直に固定することで,不斉認識能を向上させることに成功した。
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