2011 Fiscal Year Research-status Report
放出制御型リポソームを利用したフラーレン積層型光電変換素子の開発
Project/Area Number |
23560938
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Research Institution | Kumamoto Industrial Research Institute |
Principal Investigator |
城崎 智洋 熊本県産業技術センター(ものづくり室、材料・地域資源室、食品加工室), その他部局等, 研究員 (70554054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永岡 昭二 熊本県産業技術センター(ものづくり室、材料・地域資源室、食品加工室), その他部局等, 研究主幹 (10227994)
高藤 誠 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (50332086)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | リン脂質 / リポソーム / ジスルフィド結合 / 酸分解性 / エステル結合 / 有機薄膜太陽電池 / フラーレン / 放出制御 |
Research Abstract |
リポソームはドラッグデリバリー等に応用が期待されているが、内包した物質を放出する機能に大きな課題を残している。本研究ではリポソームを形成するリン脂質の長鎖アルキル基にジスルフィド結合部位を導入することにより、酸性条件下で分解し、リポソームが壊れて内包している物質を放出する放出制御型リポソームを開発し、有機薄膜太陽電池に用いるフラーレンを内包させて用いる。pHに応答して内包物を放出するため、基板に成膜後に酸で洗浄することで内包物を放出させることが可能であり、また生体系においても細胞導入時のエンドソームによってpHが低下することによってリポソームが壊れ、内包物を放出することができる。放出制御リポソームを形成するリン脂質は以下のように合成した。1)長鎖チオールをピリジルスルフィド化してからチオール基とカルボキシル基を持った分子と反応させることで、目的とするジスルフィド含有脂肪酸を合成することができた。2)ジスルフィド含有脂肪酸をグリセロホスホリルコリンとエステル化を行い、目的とする酸分解性リン脂質を得た。3)得られたリン脂質を水中に分散させて、直径約1000nmのリポソームが得られていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画ではジスルフィド含有脂肪酸の合成、酸分解性リン脂質の合成、放出制御リポソームの調製を行うことになっているが、全て順調に達成できている。計画書ではエクストルーダー法によって100nmにサイズを制御したリポソームを調製する予定であったが、1000nmサイズでも目的には十分であり操作も簡便になるため、1000nmサイズのリポソームを作製することとした。最終的なフラーレンの成膜状態によってリポソームの形状は最適化していく。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られた結果を元にして、酸分解性リン脂質単独,またはその他,既存のリン脂質誘導体と配合することによって調製したリポソームの,pHを酸性領域に変化させた際の形態変化と内包物の放出について,電子顕微鏡観察、紫外可視分光光度法や蛍光スペクトル測定によって調査する。また、標準物質を内包させたリポソームを調製し、紫外可視分光光度法など分光学的手法によって内包状態および放出について検証する。その後、平成24年度に得られた結果を元にして、光電変換素子を作製する。透明導電性ガラス上にフラーレンを内包させた放出制御型リポソーム溶液を,スピンコートやインクジェット等の手法によって塗布する。これを酸性水溶液で処理することでリポソームを分解・除去した後、乾燥させることでn型半導体層であるフラーレン層を形成する。この上に、p型半導体ポリマー,ホール輸送層を形成後,対向電極を蒸着して電極を形成することにより、光電変換素子を作製する。得られた光電変換素子を太陽電池評価装置によって、変換効率、短絡電流、開放電圧、FF等を求め、評価を行う。また,素子を切断し,各層の膜厚を走査型電子顕微鏡観察によって測定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
放出制御型リポソームに内包させるフラーレンや、有機薄膜太陽電池を作製するのに必要な試薬類等を購入する。また、放出制御型リポソームを追加合成するのに必要な試薬類、ガラス器具類を購入する。有機薄膜太陽電池やリポソームに関する情報収集や、成果発表のために学会に参加する予定であり、そのための旅費や参加登録費を使用する。
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Research Products
(9 results)