2011 Fiscal Year Research-status Report
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23560940
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
VESTERGAAR d.C 北陸先端科学技術大学院大学, 大学院教育イニシアティブセンター, 准教授 (20582943)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | アミロイドβ / 生体模倣膜 / アルツハイマー病 / 電気化学 / 生体模倣センサー / 膜ダイナミクス |
Research Abstract |
今年度は以下の様な成果が得られた。(i)膜表面におけるアミロイドβペプチド(Aβ)の局在化が、Aβの凝集と膜の組成に依存することが分かった。特に膜中のコレステロールの濃縮が局在化する場所を決定するのに重要な影響を与えていることが明らかとなった。(ii)Aβによる膜の形態変化は、少なくとも部分的には、膜の融合あるいは小さな リポソームが大きなリポソームに取り込まれることで引き起こされることを見出した。(iii)Aβが膜を破壊することは良く知られている。Aβが膜に孔を生成するとの報告があるが、我々の実験からはいまのところそれを否定する結果も肯定する結果も得られていない。この点については、今後引き続き実験を重ねて行く予定である。その一方で、膜の破壊とAβの凝集状態に明らかな相関関係があることが分かった。小さいオリゴマーの凝集種が原繊維種よりも膜を容易に破壊した。小さいオリゴマーの凝集種が原繊維種よりも毒性が高いことは知られており、我々の実験結果は、アルツハイマー病の神経病理において膜の破壊が果たす役割を示唆している。(iv)コレステロールおよび、人工のコレステロール誘導体を含んだ膜のダイナミクスに対する温度の効果を調べる研究においては、温度と膜ダイナミクス、膜表面積変化の相関関係を明らかにした。これらの発見は粥状硬化症などの治療方法に熱療法が効果的であるか否かを明らかにする上で重要である。(v)電気化学的バイオセンサー技術の開発を目指し、Aβ検出のためのラベルフリーイムノセンサーを開発しました。センサー表面を金ナノ粒子の自己組織化単層膜で修飾し、Aβの高感度かつ選択的な検出を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初立てた予定の8割を達成した。さらに、予定に加えて、膜融合や神経保護剤の研究を行うこともできた。特に、膜融合の研究では、これまで進めてきた実験結果のメカニズムを深く考察するうえで非常に有益な情報をえることが出来た。現在、これらの成果をまとめ、投稿論文の準備を進めている。このように、当初の予想をはるかに超える成果が得られた。また、国際会議にて、我々の研究に対する多くのフィードバックを得ており、本研究が高い評価を得ていることを表している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究をさらに展開し、タンパク質ミスフォールディングを引き起こす生体分子間相互作用のメカニズム解明、およびメカニズムを解析するためのツール開発を進める。具体的には、1)タンパク質(アミロイドおよびアミリン)凝集を計測する脂質膜ベースのナノバイオセンサーを開発する。2)神経保護物質と膜中のアミロイドとの相互作用を明らかにする。これらの実験は、細胞模倣条件下にて、顕微鏡および電気化学測定により行う。3)酸化膜とアミロイドとの関係を解明する。4)神経保護物質の酸化モデル膜に対する抗酸化機能を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2012年度:試薬類 (319,322); 電機システム (250,000); ナノーパーチクレズ と プラスチック類 (200,000); ガラス類 (100,000); 書籍 (100,000); 論文別刷り (50,000).2013年度:試薬類 (200,000); 電機システム (150,000); ナノーパーチクレズ と プラスチック類 (100,000); 論文別刷り (50,000).購入予定だった物品を予定より安価で入手できたため2011年度に弱冠の未使用額(繰越金)が生じた。この繰越金は2012年度に試薬を購入するために使う予定です。この試薬は生体模倣膜との相互作用に関する研究で使用するつもりです。
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[Journal Article] Physicochemical profiling of surfactant-induced membrane dynamics in a cell-sized liposome2012
Author(s)
Hamada, T., Hagihara, H., Morita, M.,Vestergaard, M.C., Tsujino, Y., Takagi, M
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Journal Title
Journal of Physical Chemistry Letters
Volume: 3
Pages: 430-435
DOI
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[Journal Article] The Effect of oxycholesterols on thermo-sensitivity of lipid vesicles2011
Author(s)
Vestergaard, CM, Yoda, T., Hamada, T., Ogawa, Y., Yoshida, Y., Takagi, M
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Journal Title
Biophysica et Biochemica Acta (Biomembranes)
Volume: 1808
Pages: 2245-2251
DOI
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[Journal Article] A rapid gel electrophoretic chip for serum cholesterol determination. Analyst, 136, 18262011
Author(s)
Kaminikado, K., Ikeda, R., Idegami, K., Nagatani, N., Vestergaard, M.C., Saito, M., Tamiya, E
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Journal Title
Analyst
Volume: 136
Pages: 1826-1830
DOI
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