2013 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞胚様体内外における物質移動現象・相互作用と細胞分化特性に関する研究
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23560949
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
中澤 浩二 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (00304733)
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Keywords | ES細胞 / iPS細胞 / 胚様体 / 細胞パターニング / マイクロウェルチップ / 相互作用 / 細胞分化 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
これまでのマウスES細胞を用いた研究を発展させ、マウスiPS細胞の胚様体培養において微小培養環境が細胞特性に与える効果を評価した。具体的にはマイクロウェルチップ技術を用いて胚様体を取り巻く微小培養環境を変化させ、iPS胚様体の増殖性、分化特性、細胞内特性に関する評価・考察を実施した。チップ上の胚様体数が一定でウェル径を変化させた場合は、ウェル径が大きい程、細胞の増殖性は高く、分化速度も速いことが示された。また、ウェル径が一定で胚様体数を変化させた場合は、胚様体数が多い程、細胞の増殖性や分化の進行が抑制傾向にあることを見出した。さらに、細胞間結合が強く、低酸素環境にある胚様体では、増殖性や分化速度が抑制される傾向がみられ、微小培養環境が胚様体特性に関与していることを明らかにした。 3年間の期間を通して、本研究では独自のマイクロチップ技術を用いてマウスESおよびマウスiPS細胞の胚様体と微小培養環境の関係についての評価を行い、いくつかの興味深い現象を見出した。①培養初期の胚様体サイズが小さい程、幹細胞の増殖・分化は促進される。②マイクロウェルチップ培養では、ウェル径が大きい、ウェル間距離が離れる、チップ上の胚様体数が少ない程、幹細胞の増殖・分化は促進される。③パターニング培養では、胚様体間距離が少なくとも500μm以下になると胚様体間の干渉作用が現れ、外周部に比べ内側に存在する胚様体の増殖性や分化は抑制される。④胚様体の増殖性や分化は、胚様体内部の細胞間結合の度合いや低酸素環境の形成状態と相関している可能性が高い。⑤マイクロチップ培養の胚様体は、従来の胚様体形成法よりも肝臓系分化を促進する傾向にある。 これらの成果は、微小培養環境の設計によって胚様体特性をある程度制御できる可能性を示しており、今後、効率的な分化誘導手法の確立へと発展させたい。
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Research Products
(9 results)