2013 Fiscal Year Annual Research Report
がん細胞の三次元培養による薬剤耐性の発現と新規制がん剤アッセイ系への応用
Project/Area Number |
23560951
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
松下 琢 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (10209538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 陽子 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (00133562)
石田 誠一 国立医薬品食品衛生研究所, 薬理部, 室長 (10270505)
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Keywords | 三次元培養 / がん細胞 / 薬剤耐性 / MDR1 / ドキソルビシン / 薬物排出活性 / ハイブリッドリポソーム / 肝細胞 |
Research Abstract |
がんには、制がん剤を使って治療を続けるうちに、細胞の薬物排出活性の亢進による薬剤耐性を獲得し、薬が効きづらくなって再発するケースがあり、この薬剤耐性の克服は、がん治療の大きな課題となっている。近年、このがん細胞の薬物排出活性の亢進に三次元組織形成が関与していることが報告され、三次元化と薬剤耐性の関連について注目されている。しかし、現在、制がん剤のスクリーニングなどに用いられているがん細胞の培養法は、二次元的な単層(monolayer)培養が一般的で、高い薬剤排出活性などによるがん細胞の薬剤耐性が十分に発現できているとはいえない。そこで、本研究では、これまで本研究室で、正常肝細胞の生体外での組織化および機能維持を目的に研究されてきた三次元(spheroid)培養法を、肝がん細胞に適応し、薬剤耐性などのがん細胞の諸性質を生体外で発現させることを検討した。23年度は、松下らが独自に開発したpoly-L-glutamic acidを被覆した96ウェルプレートを用いて、肝がん細胞(HepG2)の三次元培養を利用した新規アッセイ系を開発した。24年度は、このアッセイ系を用いて、がん細胞の薬剤耐性を生体外で再現させることに成功した。また、この薬剤耐性を低下させる新しいタイプの制がん剤(薬剤耐性克服薬)を探索した。その結果、研究分担者の松本らが開発した、がん細胞膜に選択的に融合蓄積し、膜タンパク質に作用することで、がん細胞のアポトーシスを誘導するハイブリッドリポソーム(HL)が、本肝がん細胞のMDR1タンパク質による抗がん剤ドキソルビシン(DOX)の排出活性を阻害し、DOXに対する薬剤耐性を低下させる効果を見出した。25年度は、このHLの組成及び処理条件の最適化について基礎的知見を得た。また、研究分担者の石田らとともに、肝細胞の三次元培養による遺伝子発現の変化についても基礎的知見を得た。
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