2011 Fiscal Year Research-status Report
小型ソーラーUAVに関する多目的最適化設計と実証フライト
Project/Area Number |
23560959
|
Research Institution | Tokyo University of Science, Suwa |
Principal Investigator |
雷 忠 諏訪東京理科大学, システム工学部, 准教授 (50392832)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 洋 諏訪東京理科大学, その他の研究科, 教授 (80204783)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 特殊航空機 / 無人航空機 / 多目的最適化設計 / 太陽光発電 |
Research Abstract |
本研究は、太陽電池を利用する小型ソーラーUAVの開発を目的とし、多目的最適化設計法により無人航空機を設計・製作し、実証フライトを行うことである。本年度には機体空力と推進系の性能推測ツールを構築し、飛行性能テストの1号機を設計・製作し、飛行基本性能の調査を行った。(1)多目的最適化設計:既存の機体と想定したソーラーUAVに関して、空力性能を解析した。空力解析ツールを改良し、機体形状を作成し、空力性能を推測した。また、機体形状のパラメータを変化させ、設計空間の範囲を確認できた。静止推進力の計測装置を作成し、プロペラとモーターの組み合わせによる推力性能をテストし、計測結果に基づいて推力推算モデルを構築できた。搭載機器や製作材料やソーラーパネルの重量などを推算し、全機重量の予測モデルを作成した。これらの成果を学会で発表した。(2)機体の設計製作:数種類のソーラーパネルに関して、発電計測実験を行い、性能を把握できた。自律装置の搭載を想定した飛行システムに合わせ、既存のV字型尾翼を改良し、逆T字型尾翼を設計、製作した。飛行制御の電気操縦システムを設計し、各部品を選定し、地上テストを行った。さらに、静止推力実験よりプロペラとモーターの動力系を選定し、基本性能テストの1号機を完成させた。(3)実証フライト:自律飛行装置などの搭載機器の重量に相当したダミウェイトを搭載し、地上パイロトによる操縦で数回の飛行テストをしながら、機体構成の調整を行い、良好な飛行状態に至った。これによって、飛行システムを確認し、機体の操縦性能を把握できた。また、GPSモジュールを搭載して、飛行経路及び飛行速度を計測し、機体形状の最適化設計に必要な飛行条件を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次年度に実施予定のソーラーUAV設計のため、全体的に準備作業を順調に進んでいる。性能評価ツールを作成し、最適化設計ツールを準備した。各種計測を実施し、設計と飛行テストに必要なデータを取得した。それに基づいて設計パラメータを調査し、試設計に着手した。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画のとおりに研究を進め、1号機による基本性能テストを実施し、2号機を設計・製作する予定です。(1)多目的最適化設計:1号機の設計・製作・飛行テストから得られたデータベースに基づいて各性能推測ツールを修正し、最適化設計システムを補完する。遺伝的アルゴリズムによる多目的最適化設計法を用いて、設計空間におけるPareto集団を考察し、ソーラープレーン実現可能の範囲を定め、2号機の最適なシステムを構成し、機体形状を設計する。(2)機体の設計製作:飛行テストで得られたデータと経験に基づいて多目的最適化設計にフィードバックし、性能改良を図って、2号機の設計製作を行う。地上確認試験を行い、機体構成と飛行の成立性を検討する。選定したソーラーパネルを地元業者に依頼製作する。軽量化に関して、とくに強度を必要とする部材について、CFRP部材の利用を検討する。太陽光パネルとパワーコンディショナーに関して、電気システムを軽量化する。(3)実証フライト:前年度に完成した1号機を利用し、飛行テストを実施しつづけ、速度計やGPSモジュールや姿勢角・加速度センサーなどの搭載機器をテストし、各飛行性能データを取得する。多目的最適化設計より軽量化された機体に関しては構造強度の確認が特に重要であるので、地上で最大想定荷重を主翼にかけて静力強度試験を実施し、構造設計を見直す。1号機から得られたデータと経験に基づいて、機体の飛行特性に合わせて自律飛行システムの改良設計を行い、さらに高いパーフォーマンスを図って、2号機の自律飛行へ繋げる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、基本機体1号機の性能テストを実施し、計測したデータより良い性能を確認できた。一部の装置は機体の設計に合わせる必要が分かったので、当初の計画を調整し、導入を次年度に変更した。次年度に1号機の基本性能テストを実施すると同時に2号機を設計・製作する。製作した2号機に合わせ、必要な機能を定め、適切な計測、制御機器を選定したうえで、本年度の繰り越し経費で自律飛行装置(約60万円)とパワーコンディションナー(約60万円)を購入する予定である。次年度予定の申請経費に関して、主に選定した機体に搭載するソーラーパネル(約70万円)を購入する。また、機体の製作に必要な部材や工具や飛行テストの搭載機器や消耗品の交換などに約10万円を使用する。機体製作補助と遠隔操縦を依頼している外部の熟練者への謝金が25万円、また学会参加の各種費用を約20万円とする。
|