2012 Fiscal Year Research-status Report
楕円制限3体問題と楕円軌道上のフォーメーションの総合的研究
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23560960
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
市川 朗 南山大学, 情報理工学部, 教授 (00115437)
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Keywords | フォーメーションフライト / 制限3体問題 / パルス制御 |
Research Abstract |
楕円制限3体問題のハロー軌道上のフォーメーションフライトを実現するための準備として、円制限3体問題のハロー軌道上のフォーメーション問題を考察した。ハロー軌道の初期値は、数値計算により求めるため、軌道は厳密には周期解とならない。従って、ほぼ周期解となる1周期分の軌道の周期拡張をハロー軌道とみなしてこの維持を連続時間制御で行った。さらに、この軌道に設計した周期解を重ね合わせることで、フォーメーション用の参照軌道を生成した。出力レギュレーション理論により、ハロー軌道の周期である約半年間この軌道を維持するのに必要な総速度変化をシミュレーションにより計算した。ハロー軌道の維持のための総速度変化は、極めて小さく実質の燃料消費は十分少ないことが分かった。また、フォーメーションのための総速度変化も、実用に耐えうる小さい値がえられた。この研究の成果の一部は、第23回International Symposium on Space Flight Dynamics (ISSFD)において発表した。さらにインパルスおよびパルスを用いて、軌道維持に必要な総速度変化を調べた結果、連続制御と同等の結果がえられた。この結果は第23回AAS/AIAA Space Flight Mechanics MeetingおよびSICE13回制御部門大会で発表した。 楕円軌道上のフォーメーションに関しては、自然な周期相対軌道よりも周期の短い相対軌道を用いるアクティブフォーメーションの手法を提案、その制御に必要な総速度変化を計算し、AIAAのJournal of Guidance, Control, and Dynamicsに発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
制限3体問題のハロー軌道上のフォーメーション問題に関しては、厳密な周期軌道を求めることは困難であることが分かった。そのためほぼ周期軌道となる1周期目の軌道を周期軌道とみなすことで、主衛星をハロー軌道に維持することができた。従衛星の軌道に関する提案は、余り発表されていないが、形状の簡単な周期軌道を生成し、それをハロー軌道に重ね合わせることで参照軌道を作成した。その追従・維持は出力レギュレーションにより行うことを提案し、燃料消費も少ないことをシミュレーションで明らかにした。この研究の対象として太陽・地球3体問題を考えているが、上の手法が楕円制限3体問題にも適用できるので、現在の目標達成度は70%程度と考えられる。 地球周回衛星の楕円軌道上のフォーメーションに関する研究では、線形化した運動方程式であるTschauner-Hempel方程式の周期解の生成法を提案し、Journal of Guidance, Control, and Dynamicsに発表した。さらにアクティブフォーメーションの提案も同誌に発表した。円軌道上のフォーメーションでは、インパルス、パルス制御の有効性を示してあるので、これを楕円軌道の場合に拡張できると考えている。従って現在までの達成度は、70%程度と考えられる。運動方程式の周期解ではなく外生軌道を用いて柔軟性のあるフォーメーションを行う手法は、制限3体問題、地球周回衛星のフォーメーションに共通に適用できることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
円制限3体問題のハロー軌道とフォーメーションの研究結果を、論文として完成し専門誌Journal of Guidance, Control and Dynamicsに投稿する予定である。連続制御に関する数値計算結果は、ほぼ得られているので、インパルス・パルス制御に関する必要なデータを作成し、手法の理論的裏付けと数値計算結果をまとめる予定である。さらにこの手法を、楕円制限問題へ拡張して、ハローの維持およびハロー軌道に沿ったフォーメーションに必要な総速度変化(燃費を表す)を調べて、実用的な参照軌道とその維持のための制御法を提案する。 地球周回衛星のフォーメーションにおいては、インパルスおよびパルス制御による円軌道上のアクティブフォーメーションの数値シミュレーションにより、必要なインパルス。パルス数を決定し、連続制御と同等な制御を行う条件を明らかにする。パルス数が限定される場合には、どのような軌道が追従可能かを明らかにし、実用性検証のための数値データを完成させる。次にインパルスおよびパルス制御による楕円軌道上のフォーメーションおよびアクティブフォーメーションの研究を行う。前者では、Tschauner-Hempel方程式の周期解への移行を指定された時間内に達成する制御則の設計、後者では、連続時間制御と同等の制御に必要なパルス数を決定するとともに、限定されたパルス数で達成可能な参照軌道を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、国際会議での発表を2件計画したが、参加した会議は、第23回International Symposium on Space Flight Dynamicsの1回のみであったため、残額が生じた。この残額は平成25年度の研究費とあわせて、2回の国際会議 1.フォーメーションフライトの国際会議である第5回International Conference on Spacecraft Formation Flying Missions and Technologies(5月29-31日) 2.2013AAS/AIAA Astrodynamics Specialist Conference (8月11日-15日) に参加・研究発表を行うための旅費に当てる予定である。ほかに、資料収集のための国内旅費、書籍購入費、論文掲載費などは、計画通り使用する予定である。
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Research Products
(7 results)