2012 Fiscal Year Research-status Report
ダイナミックインバージョン制御を用いた重力制御姿勢安定化飛行体の研究
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23560963
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
岩田 拡也 独立行政法人産業技術総合研究所, 知能システム研究部門, 主任研究員 (70356533)
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Keywords | 姿勢制御 / バランス制御 / 振子安定制御 / Penduroid / Pendulum android / 振子姿勢安定化ロボット / ペンデュロイド / 1本腕ぶら下がりロボット |
Research Abstract |
平成24年度は、ダイナミックインバージョン制御ソフトウェアを入れる組み込み制御回路の設計と回路基板の製作を行った。前年度に製作したハードウェアの数値を基に、主翼の揚力中心から重心を内包する振子となる本体が直交懸垂し前後のピッチ軸と左右のロール軸に対して振子運動を行う運動のうち、ロール軸の運動方程式を導出し、逆運動学の解を導いた。また、応答速度の解析を行い、前年度に製作した1/3スケールの実験機の場合、2ms程度のロール姿勢フィードバックが必要であることを明らかにした。これにより、姿勢センサからの100ms程度のロール角速度データでは、フィードバック速度が大幅に不足しており、高速フィードバック専用のロール姿勢センサを付加し、高速サンプリングが可能なA/D変換ポートからフィードバック入力を行うこととした。ロール姿勢センサとして、(1)角速度センサ、(2)角加速度センサ、(3)その他のセンサの3方式を比較検討することとし、本年度は(1)の角速度センサフィードバックによるロール姿勢角制御を行った。(1)のロール角速度フィードバック制御の場合、振子の速度制御へのフィードバックとなるが、角速度の検出角度範囲が狭くS/N比が低い領域でのセンシングとなるため、ある程度の角速度が出るまでフィードバック制御を発動させることができない。このことから、次年度には(2)のダイバーシティ制御の角加速度センサを用いた新しい方法によるロール角姿勢制御を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
振子安定姿勢制御飛行体の概念を具現化するハードウェアの開発は順調に目的を達成し、難航が予想されたアクチュエータの開発も、2号機にして実用に耐える達成度を得た。主翼の製作達成度がおおむね順調程度である理由は、左右対称性の工作精度が低く右旋回の傾向が出る特性となったためである。しかし次に行われた制御ソフトウェアの研究において、左右対称性のバラつきがフィードバック姿勢制御によって穴埋めされ、全く右旋回の傾向が見られなくなることがわかったことから、第1段階となる角速度センシングによる制御ソフトウェアの達成度は順調であった。振子安定姿勢制御飛行体のロール姿勢角やピッチ姿勢角の2軸アクチュエータによるダイナミックインバージョン制御は、回転を用いたアクチュエータによる回転角制御により制御則導出の目的の達成度は高いが、姿勢安定化性能はセンサフィードバックに依存する部分が大きく、振子安定姿勢制御の達成度には従来にない独創的なセンシング技術の研究が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
姿勢安定化性能はセンサフィードバックに依存する部分が大きく、振子安定姿勢制御の達成度には従来にない独創的なセンシング技術の研究が必要であるため、ロール姿勢センサとして、(1)角速度センサの他に、(2)角加速度センサ、(3)その他のセンサの2方式を追加検討することとし、今後は(2)のダイバーシティ制御の角加速度センサを用いた新しい方法によるロール角姿勢制御を行う予定である。 本研究の原理を活用可能な汎用性のある一本腕ぶら下がり振子安定姿勢制御ロボット(Penduroid)の実現を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
振子安定姿勢制御装置を搭載した飛行体と、その制御を行うソフトウェアとの結合試験までは、室内実験で実施可能であるが、外乱への耐久性能を評価する実験を行うには、実験場に運搬しての実地実験のための費用を使用する。また、実験機の構造体は毎回の実験で交換する消耗品であるため、部品調達費用として使用する。 実際の一本腕ぶら下がり振子安定姿勢制御ロボット(Penduroid)の試作費用としても使用する。
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