2013 Fiscal Year Annual Research Report
太陽光圧を積極的に利用した宇宙機誘導航法の実証的研究
Project/Area Number |
23560964
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
津田 雄一 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (50370101)
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Keywords | 誘導・航法・制御 / ソーラーセイル / 姿勢制御 |
Research Abstract |
3箇年の研究活動を通して,ソーラーセイルによる宇宙航行技術について,太陽光圧を用いた姿勢軌道制御の体系的な理論構築を行い,日本の探査機IKAROSの運用チームと連携することで,本理論構築結果を実証的に評価した. 1年目は,できる限り基本原理に忠実な太陽光圧による姿勢軌道運動モデルの構築を行った.また次の3種の数値シミュレーションのための計算コード開発に着手した.①フライトデータからソーラーセイルに特有の姿勢と光学特性のカップリングを表すパラメータを推定するツール,②探査機の詳細3次元モデルと光学パラメータの可視化ツール,③ソーラーセイル膜面の形状を任意次数の基底関数の合成として表現しその重みパラメータ群をフライトデータへフィッティングするツール. また,IKAROSの実運用データから姿勢軌道データを抽出し,本解析に適した形式で整理し,データベースを作成した. 2年目は,IKAROSの実データを再現する縮退モデルの導出と検証を実施した.これは,IKAROSのフライトデータと比較して,より良好な一致を見ている.セイルの形状と姿勢運動の間は高々3つのパラメータで結ばれることを解析的に示し,IKAROSの実運用実績を用いて実証した.また,この定式化から,姿勢運動上の要請からセイル表面特性の設計要求を導出できることを導いた. 最終年度は,前年度までの研究活動の総括と位置付け,次の3点を実施した.①初年度から開発を継続していた解析ツールを汎用性を考慮したソフトウェアとして完成,②本問題に特化した研究会を複数開催し国内外の専門家と広く議論することで研究の完成度を高めた,③本解析手法の応用先として次期ソーラー電力セイルミッション構想への適用設計と小惑星探査機はやぶさ2への太陽光圧摂動の予測解析を実施し両検討の進展へ貢献した. なお,本研究の成果は,査読論文7件,学会発表4件にまとめた.
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