2012 Fiscal Year Research-status Report
浮体式波力発電システムの高効率化に関する基礎的研究
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23560966
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
井関 俊夫 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (70212959)
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Keywords | 波力発電 / 浮体動揺 / 方向スペクトル / ベイズ推定 / ウェーブレット |
Research Abstract |
本課題では、(1)理論的研究、(2) 動揺特性最適化システムの開発、(3)模型試作と水槽実験による有効性の検証の3点を研究の目的として、浮体式波力発電システムの高効率化の基礎的研究を行っている。平成24年度の研究実績は以下のとおりである。 (1) 理論的研究:平成23年度から引き続き、ベイズ波浪推定法の改良を行った。浮体動揺応答関数の推定誤差を取り込むベイズ型モデルを開発し、実際のコンテナ船の動揺に適用し、波浪レーダの推定結果と比較した。これらの結果を3本の論文にまとめ、3つの国際学会で発表するとともに、さらに改良を加えた計算法について、2013年6月開催予定のOMAE2013とTransNav2013において発表する予定である。 (2) 動揺特性最適化システムの開発:ベイズ波浪推定法において非定常時系列データが取り扱えるように計算法を変更する検討を行った。多変量時変係数自己回帰モデルによるクロススペクトル解析法を以前の研究で導入したが、計算量が膨大となるため、平成24年度においてはウェーブレット導入の可能性について検討を開始した。離散型ウェーブレット解析は計算負荷が低いため、ベイズ法との組み合わせにより、実用的な計算法を構築することが期待できる。 (3) 模型試作と水槽実験:アクリルパイプによりスパー型海洋構造物の小型模型を製作し、動揺特性を動的に変更するシステムを開発した。具体的には、マイコンボードArduino とMEMS型加速度センサおよび無線モジュールXbeeを用いて、任意のタイミングで空気弁を開閉するシステムとした。現在は、センサ感度と機械的追従性の調整を行っているが、平成25年度中には理論の検証を実施できる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論的研究では浮体運動応答関数の推定誤差をモデルに取り込んだ新しいベイズ推定法を開発し、船体動揺データに適用した結果を計5編の論文(内3編は平成24年度に発表済)にまとめた。本研究課題ではスパー型ブイを想定しており、浮体の運動解析に前進速度影響を考慮する必要はないが、実海域の不規則波浪海面での実用化を想定した場合には、船体動揺データの使用が有効である。また、非定常動揺データにベイズ推定法を適用するために、ウェーブレット解析法の導入について検討を今年度から開始した。模型試作および検証実験については、浮体アクリル模型搭載用の動揺特性制御システムを開発した。また、方向スペクトル計測用の波高計アレイを製作するための容量式波高計と、浮体動揺計測用ヴァーティカルジャイロを購入して、船舶運航性能実験水槽における模型実験を開始した。以上のことから、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究計画がおおむね達成できているので、平成25年度においても当初予定通り研究を推進する。すなわち、1.模型による水槽実験:浮体運動から方向波スペクトルを推定し、同時に動揺特性を変更する実験を行う。2.浮体動揺特性変更方式の検討:平成24年度の研究結果と実機レベルでの実現性を考慮しつつ、動揺特性変更方式の実現可能性について検討する。3.試作模型の有効性に関する検討:平成25年度は最終年度にあたるため、本研究課題で開発した浮体式波力発電システムの効率について検討を行う。4.情報発信:得られた研究成果をまとめて日本船舶海洋工学会やOMAE(海洋工学および極地工学に関する国際会議)、ISOPE(国際海洋極地工学会議)等の国際学会で発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度6月開催のOMAE2013等での論文発表旅費、スパー型小型模型改良費(発電効率計測用システムの開発と搭載)、研究成果報告書印刷費に使用する予定である。
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Research Products
(10 results)