2013 Fiscal Year Annual Research Report
浮体式波力発電システムの高効率化に関する基礎的研究
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23560966
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
井関 俊夫 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (70212959)
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Keywords | 波力発電 / 浮体動揺 / パラメトリック共振 / マシュー不安定 / スパー型ブイ |
Research Abstract |
本研究課題では、浮体式波力発電システムの動揺特性を変更して、発電効率を最大化することを目的として、理論的研究、動揺特性最適化システムの開発、模型試作と水槽実験による動揺特性の検証、パラメトリック共振を起こすための動的制御のシミュレーションを行った。なお、本研究課題では、電力の取り出し効率には言及せず、動揺制御の観点からの効率を論ずることとした。まず、理論的研究では、浮体の動揺から周囲の波浪状況を推定する理論の確立を目的として、ベイズ波浪推定法に浮体動揺応答関数の推定誤差を取り込む新しいベイズ型モデルを開発した。この方法を前進速度を有する船体動揺に拡張応用し、実波浪海域での有効性を検証した。さらに、ベイズ波浪推定法と組み合わせるために、計算負荷が低い離散ウェーブレット変換の導入を検討した。動揺特性最適化システムでは、ポイント・アブソーバであるスパー型ブイを製作し、水線面積を変更することによって上下揺復原力を変化させ、動揺周期を変更するシステムを開発した。ブイは主浮体である内円柱と複数の外周小型円柱から構成され、外周小型円柱についてはスライディング・バルブ型とソレノイド・バルブ型の2種類の空気弁開閉方式を検討した。水槽実験では、製作したスパー型ブイ模型のバルブ開閉時の動揺周期、減衰係数の変化を計測し、シミュレーション計算の精度向上を図った。シミュレーション計算では、パラメトリック・ローリングからヒントを得て、対象としているスパー・ブイが上下揺単独でパラメトリック自励共振をおこすバルブ開閉制御法を検討した。その結果、規則波中ならびに不規則波中においてパラメトリック共振を起こすことが可能であることが分かった。以上のことから、本研究課題の目標を達成することができたといえる。今後の課題としては、パラメトリック共振が実際に起こることを模型実験によって検証する必要がある。
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