2012 Fiscal Year Research-status Report
高精度ステレオビジョンを核とする次世代高度安全海上輸送システム
Project/Area Number |
23560968
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山本 茂広 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 准教授 (60294261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 岳 静岡大学, 工学部, 准教授 (60228418)
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Keywords | ステレオ / 画像計測 / 三次元 / 船舶 / 安全 |
Research Abstract |
ステレオカメラシステムを用いて海上画像から船舶やその他の障害物等を検出し,それらの位置を高精度で計測することにより,船舶航行の安全性を高めるシステムの開発を目指して研究を行っている。本年度は,まず,船舶の検出精度を高めるため,サポートベクターマシンによる学習を取り入れて,船舶や他の障害物と,単なる海面を識別する方法を開発した。これにより,波などを障害物と誤認識する率を減らすことができた。さらに,同じ船舶でも大型船舶と小型船舶等とに細分する方法の研究に着手した。 次に,位置計測の精度に及ぼす問題として,船舶の動揺に関して検討した。動揺の影響は主に二つに大別される。一つ目は,波浪による船体自体の大きな動揺である。これによりステレオカメラシステムの向きが常に変動することになり,対象物の画像上の座標も常に変動することになる。したがって,これに関しては水平線を検出することにより船舶(カメラシステム)のロール角とピッチ角を求める方法を提案した。二つ目は,波による衝撃やエンジンの振動が伝わることによって引き起こされる船体,ひいては個々のカメラ自体の細かな振動である。それぞれのカメラの方向に微小でもブレが生じると位置計測結果に大きな誤差を与えることになる。したがって,船体うちのいくつかの固定点を用いてカメラの方向がブレた場合でも精密にカメラ方向を決定し,位置計測精度を向上させる方法を考案し,実験により有効性を確かめた。 そのほか,前年度までの船舶を検出して位置を計測し,さらに時系列画像上で追跡する方法に関する研究成果をまとめて,発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,船舶を安全に航行させるための次世代高度安全海上輸送システムの構築を目指し,その中核となるマシンビジョン技術,特に,3次元ステレオ画像計測技術を駆使して船舶やその他の障害物等の位置や速度を高精度に検出するシステムを開発することである。これまでに,船舶等の検出,位置計測,追跡といった基幹部分の基礎手法については概ね出来上がっている。さらに,検出については,船舶等を識別する手法にまで踏み込んで検討しているし,位置計測に関しても,船舶の動揺という難しい問題にも対応できる見通しが得られた。もちろん,まだ完全ではないので,多くの事例について検証を行っていく必要があるし,手法の改良も絶えず行っていく必要がある。また,実用化を念頭に置くと,アルゴリズムの高速化を図る必要も出てくる。以上のような点を考慮すると,まだ続けるべき課題はあるものの,概ね順調に研究が進捗している考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,これまでの研究成果を踏まえ,手法の改良と検証を行っていく。具体的には,船舶検出方法に関して,引き続き船舶の種類等の認識性能を強化していく。また,船舶検出後の追跡についてもカルマンフィルタやパーティクルフィルタなどの推論手法の導入を検討する。また,これらの手法について,なるべく多くのデータを取得して検証していく。さらに,実用化を念頭にアルゴリズムの高速化等を検討するとともに,高度安全海上輸送システムへの適用を考えていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験データの取得や整理のため学生に手伝ってもらって謝金を支出することを考えていたが,今年度はアルゴリズムの開発を中心に行っていたため,新たなデータ取得等があまりできなかった。この点は,次年度に回して大量の実験データの取得,整理等のための謝金として使用していきたい。また,検証のための機材の追加購入も必要となる。さらに,次年度は最終年度であるため,研究成果の発表にも力を入れる予定であり,そのための費用も必要になる。
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Research Products
(5 results)