2012 Fiscal Year Research-status Report
能動的ピッチ制御を適用した潮流・海流発電のための高性能垂直軸型水車の研究開発
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23560975
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
居駒 知樹 日本大学, 理工学部, 准教授 (50302625)
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Keywords | 潮流発電 / 垂直軸型水車 / 可変ピッチ / 水槽実験 / CFD |
Research Abstract |
当初予定された本年度の研究課題は,可変ピッチ水車模型を用いた水槽実験の継続とCFD計算の継続による詳細かつ高精度のデータ取得であった。 水槽実験の精度を上げるために,模型の改良を施し,次の内容の水槽実験を改めて実施した。1)モーターによる強制回転試験:本試験により,制作した水車の翼角度制御による潜在的な水車特性・性能(水車効率)を計測した。2)無負荷状態における回転性能試験:機械的摩擦抵抗のみが考慮された状態での自起動特性と回転数特性を計測した。3)自由回転状態からの負荷試験:無負荷での回転状態から徐々に負荷をかけ,その際のトルク特性から制作された水車の実際の水車効率を求めた。これらの試験から,潜在的には水車効率が45%を超える非常に高効率な性能を秘めていることが示された。自由表面における攪乱影響が大きいため,さらなる効率上昇を見込むことができる。また,現実的な性能としては10%程度の水車効率であった。しかし,制作方法の改良(軽量化,ギア部改良など)により容易に余計な負荷を低減可能である。ピッチ角を高回転数時に浅くすることで効率向上が可能であることが後のCFD計算の結果から推察できている。 CFD計算による可変ピッチ水車の検討を可能とした。特に本年度は回転中にピッチ制御角を変更できるように改良を施した。また,水槽実験との詳細な比較により,計算上の抵抗係数を同定して,水槽実験をより高精度に再現可能とした。改良されたCFD計算法により,実海域での性能評価を実施するに至った。潮流速1.5m/sが最大である海域での可変ピッチの効果を年間の取得エネルギー量により無制御の場合と比較して示すことができた。その結果,2.5倍程度のエネルギー取得が可能であった。さらに,現実的には無制御では回転そのものが保障されず設置困難と判断される流況条件であるため,本水車の有効性は数字以上に大きいといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
水槽実験用の水車模型は初年度に制作したものを改良し,実験計測精度の向上に成功した。そのため,使用した水車模型のより詳細な性能評価を行うことができた。合わせてCFD計算の検証も進んだことから,実海域で可変ピッチ水車を用いることのメリットをCFD計算によって試験的に評価することができた。 研究の進捗として,CFDによる翼制御の逐次変更が可能となったこともあり,多様な条件での計算が可能となった。また,現状の水車での基本性能,実験計測技術の経験値の向上により,最終年度に実施予定であった大型水車制作を前倒しで実施できた。大型水車模型は6枚まで翼枚数を変更することもできる。最終年度が始まり次第,大型模型の基本水車性能を計測し,後半で発電機を搭載した条件での実験計画を新規に導入可能となった。 以上のことなどから,水槽実験ならびにCFD計算においても研究計画以上のスケジュールで研究が進んでいる。また,結果の達成度としては,物理的に水車効率50%の水車を制作することは困難であるが,理想値としてそれを目指すことが可能であることを検証できている。また,低流速・低回転数(低周速比域)での効率向上には十分に成功できた。本研究終了後の次のステップとしての実海域試験計画も進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
直径50㎝でブレード枚数が6枚まで変更可能な水車模型を既に制作した。水車重量も小さめに抑え,ブレード長さも長く設定している。制作した水車そのものの水車効率は向上できているはずであるが,それを実験的にデータ取得する。また,可変ピッチ水車の場合には低速での基本特性がクロスフロー型に近いので,翼枚数が増えた方が水車性能が向上するなども予想される。これらを実験的,数値計算から検証する。これらの基本的な特性を基に,数値計算により実海域を想定したシミュレーションを実施するとともに,翼断面形状の変更等により,水車性能そのもの向上させて,目標の水車効率50%に近づける。 また,この50㎝模型を基本として実海域試験の計画を立て,場合によっては試験的に試験海域への設置を今年度試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
水車ブレードの断面形状の変更のために7万円×6枚=36万円を予定する。また,発電機を搭載した状態での発電試験を実施するために発電機を購入予定である。予算は40万円程度を予定しているが,現在種類や定格出力を調整中であり,購入製品については調整中である。残りの経費の一部は報告書作成費として利用するが,実験用消耗品と協力大学院生の実験所までの交通費や謝金として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)