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2012 Fiscal Year Research-status Report

深海環境および資源探査用化学発光方式硫黄化合物センサーの開発

Research Project

Project/Area Number 23560976
Research InstitutionOsaka Institute of Technology

Principal Investigator

藤森 啓一  大阪工業大学, 工学部, 准教授 (70319573)

Keywords熱水探査 / センサー / 硫化水素 / 化学発光
Research Abstract

増幅剤にCAPSを用いた硫化水素の化学発光分析系と比べ、Tb(III)ピペミド酸錯体を増幅剤に使用した場合に約80倍の強度が得られた。しかし、実海水に含まれる臭化物イオンが共存するとシグナル強度は80%減少することがわかった。検討の結果、臭化物イオンが205 nm付近に吸収を持っていることから、励起状態にあるTb(III)ピペミド酸錯体を消光していることがわかった。この消光機構が化学発光系の増幅を妨害していると判断した。臭化物イオンは海水にパーセントレベルで存在する塩化物イオンと非常に化学的性質が類似しているので、臭化物イオンの除去は断念した。しかし、海水の臭化物イオンは保存成分であるために濃度変動はあまりしない。実際に天然海水への硫化水素添加実験ではライマン人工海水で調製した標準溶液と比べると、ほぼ100%に近い回収率が得られた。
また、検討した天然海水には臭化物以外の紫外線吸収帯は、見られなかった。臭化物イオンは海水の保存成分であるために臭化物イオン濃度が変化する系であっても、塩分濃度も同様に変化することが予想される。これらのことから、探査に使用する際には、塩分計にて同時測定をし、補正することが望ましいと考えられる。温度変化や海水や熱水の共存物質の影響は低く、最終的な検出限界はCAPSを用いた場合に比べ約1/8になっていることから、熱水探査に使用できると考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

達成度は70%程度である。CAPSの100倍程の感度を目標にしたが、実際には約8倍程度の感度となってしまった。これはCAPSが海水の共存成分の影響を受けないのに対して、Tb錯体は、臭化物イオンなどの200 nm付近に吸収がある物質が存在すると消光することが原因である。臭化物イオンを除去するのが難しいことや増幅機構に起因する原因であるために解決が難しい。しかし、 当初の最低限の目標であるCAPSの10倍感度が化学発光系を構築することはできた。
また、硫化水素センサー以外の検討は余り行えていない。ただし、無機酸化剤と硫黄化合物の化学発光および増幅剤を加えた場合の化学発光スペクトルを得ることができた。これらの化学発光スペクトルは、今後新たな分析系を開発する上で重要な基礎データとなる。
希土類センサーの検討は、ほとんど進んでいないことから、達成率は70%程度と考える。

Strategy for Future Research Activity

硫化水素の分析系の検討は、ほぼ終了した。次いで、同じ化学発光系で測定が可能な希土類センサーの開発を行う。硫化水素を測定する場合は、過マンガン酸と希土類錯体を一定濃度で流すことで、得られる化学発光が試料の硫化水素濃度に比例することにより測定が可能となる。それに対し、希土類を測定する場合には過マンガン酸と硫化水素濃度を一定にし、変化する未知の希土類イオンに応じた化学発光の変化を測定する。
ピペミド酸を配位子に使用した予備検討ではTb(III)濃度に対して、検量関係は得られなかった。これはピペミド酸がTb(III)と安定な錯体を生成しないことが原因と考えられる。今後は、蛍光性の希土類錯体で安定度定数の高いものを使って検討する。また、これらの配位子によってはアルカリ性下で希土類イオンと安定な錯体を生成するものも存在する。
アルカリ性下では希土類錯体の増感化学発光を生成するのに使用される過マンガン酸やセリウム(IV)は、沈殿を生成するので使用できない。アルカリ性でも使用できる酸化剤である過酸化水素や次亜臭素酸、過硫酸でも硫黄化合物と希土類錯体による化学発光の増幅が起こるか検討していく予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

昨年までに検討に必要な備品の購入は終了した。今年の予算は薬品や消耗品を中心に購入を行っていく。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012 Other

All Presentation (2 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] Ce(IV)の化学発光に対するアクリジンオレンジの増感効果について2012

    • Author(s)
      浜口一樹・藤森啓一・森内隆代・澁谷康彦
    • Organizer
      第72回分析化学討論会
    • Place of Presentation
      鹿児島大学郡元キャンパス(鹿児島県)
    • Year and Date
      20120519-20120520
  • [Presentation] Tb錯体の増感化学発光を利用した海底熱水探査用硫化水素分析装置の開発2012

    • Author(s)
      泉谷 玲・藤森啓一・森内隆代・澁谷康彦・辻本賢太・植田正人・鈴江崇彦・紀本英志・岡村 慶
    • Organizer
      第72回分析化学討論会
    • Place of Presentation
      鹿児島大学郡元キャンパス(鹿児島県)
    • Year and Date
      20120519-20120520
  • [Remarks] OIT VITUAL CAMPUS (工学部応用化学科分子認識研究室)

    • URL

      http://www.oit.ac.jp/japanese/virtual/

URL: 

Published: 2014-07-24  

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