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2012 Fiscal Year Research-status Report

バイオマスの急速熱分解により得られるバイオオイルからの水素製造プロセスの開発

Research Project

Project/Area Number 23560982
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

岩佐 信弘  北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30223374)

Keywords水素 / バイオマス / バイオオイル / 酢酸 / スメクタイト
Research Abstract

本研究ではバイオマスの急速熱分解により得られるバイオオイルを触媒を用いて水素に変換することを目的に,バイオオイルの主成分の一つである酢酸をモデル物質として水蒸気改質により水素に変換する触媒プロセスの開発を行った。前年度の研究で,水熱法により合成したニッケルを含有するスメクタイト粘土化合物が酢酸の水蒸気改質に対して高い活性および選択性を示すこと,この触媒にカリウムなどのアルカリ金属を添加することにより反応初期の活性が著しく向上することを見出したので,本年度はこれらの触媒のキャラクタリゼーションを行い活性向上の要因を明らかにするとともに反応条件の影響について検討を行い,以下の結果を得た。
昇温還元法により触媒の還元特性を検討した結果,ニッケル含有スメクタイトにカリウムを添加することによりニッケルの還元が促進されることが明らかになった。光電子分光の測定結果では,ニッケルの電子状態はアルカリ金属を添加しても変化せず,還元後の試料ではニッケルは金属の状態であることが分かった。これらの結果より,アルカリ金属の添加による活性の向上は,還元が促進され活性サイトであるニッケルがより多く生成するためであると考えられる。
反応中に触媒上に析出する炭素種による活性低下を抑制することを目的に酸素あるいは水素を共存させて反応を行い,その共存効果について検討した。酸素を共存させると炭素種の析出は抑制されるものの酢酸の酸化反応が起こり水素の収率が低下してしまう。一方,水素の共存では析出する炭素種が増加してしまい活性低下を抑制することは出来なかった。
反応温度の影響について検討した結果,反応温度を上げると酢酸の転化率および水素収率が増加するばかりでなく,反応中に析出する炭素種が著しく減少し,300分に渡り安定した活性を示すことが明らかになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は,カリウムなどのアルカリ金属をニッケル含有スメクタイトに添加することにより酢酸の水蒸気改質に対する活性が向上する要因を明らかにするために,種々の手法により触媒のキャラクタリゼーションを行った結果,カリウムを添加しても活性サイトであるニッケルの電子状態は変化しないが,ニッケルの還元が促進されることを明らかにした。すなわち,カリウムを添加しても活性点の“質”が変化するのではなく,“量”が増加することにより活性が向上することを明らかに出来た。
酢酸の水蒸気改質反応では,反応中に触媒上に析出する炭素種により活性の低下が起こることが問題となる。活性低下の抑制のためには触媒の改良および反応条件の最適化を図る必要があると考えた。触媒の改良としては,アルカリ金属などの第三成分の添加の影響について検討した結果,初期活性は向上するものの時間とともに活性が低下してしまい,活性低下の抑制できなかった。一方,反応条件の影響は,酸素あるいは水素を共存させることにより,析出する炭素種の抑制を試みたが,酸化反応や水性ガス転換逆反応などが起こり満足な結果は得られなかった。しかし,反応温度を上げると酢酸の転化率および水素収率が増加するばかりでなく,析出する炭素種が減少することを見出した。特に700℃で反応を行った時には,活性の低下はほとんど起こらず,長時間にわたり90%以上の高い酢酸の転化率を与えることを見出した。
以上の結果より,本研究は概ね順調に進展していると評価した。

Strategy for Future Research Activity

本年度までの研究において,ニッケルを含有するスメクタイトが酢酸の水蒸気改質に対して高い活性および選択性を示すこと,カリウムなどのアルカリ金属を添加すると活性がさらに向上すること,反応温度を上げると活性の低下が抑制され700℃で反応を行った場合は,安定した活性を示すことを明らかにした。これらの結果を踏まえて,今後はカリウムを添加したニッケル含有スメクタイトを用いて酢酸の水蒸気改質の反応条件をさらに検討し,低い反応温度における活性低下の抑制を図る。さらに実バイオオイルを用いた水蒸気改質による水素の製造について検討する。
またバイオマス資源の有効活用として,バイオマスから容易に合成可能なエタノールやバイオディーゼル燃料の製造時に生成するグリセリンからの水素製造についても検討する,これらの反応に対してはニッケルを成分とする触媒が高い活性を示すことが報告されていることから,本研究で用いたニッケル含有スメクタイトがこれらの水蒸気改質による水素製造に対しても優れた特性を示すことが期待される。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度使用額(B-A)の150,022円は,所属研究機関の会計処理の都合で残額があることになっているが,実際には平成24年3月までに執行済みである。
次年度は薬品,高圧ガスやガラス器具などの消耗品費に600,000円,国内や外国で開催される学会において研究成果を発表するための旅費に400,000円を使用予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2013

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] Ni 系合成スメクタイト触媒を用いたエタノール水蒸気改質による水素製造2013

    • Author(s)
      山岡亮平,岩佐信弘,荒井正彦
    • Organizer
      第22回化学工学・粉体工学研究発表会
    • Place of Presentation
      函館市産学官交流プラザ(北海道)
    • Year and Date
      20130201-20130202

URL: 

Published: 2014-07-24  

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