• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2011 Fiscal Year Research-status Report

地殻物質-熱水間元素分配実験および野外調査に基づく熱水性金属鉱床の生成機構の解明

Research Project

Project/Area Number 23560989
Research InstitutionWaseda University

Principal Investigator

内田 悦生  早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40185020)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywordsマグマ / 熱水 / 元素分配 / 塩濃度 / 花崗岩 / タイ / 錫 / 黒雲母
Research Abstract

2011年度においては、主として、花崗岩質マグマ-熱水間元素分配に対する塩濃度依存性実験とタイの花崗岩の調査を行った。 マグマ-熱水間元素分配実験では、韓国の月岳山花崗岩と塩濃度0.5~3.0mol/lのNaCl水溶液を用いて実験を行った。実験条件は1.5 kb、860℃とし、反応期間は3日間とした。分析対象元素はNa、Mg、K、Ca、Mn、Feの6元素とした。各元素の分配係数(熱水中の濃度/マグマ中の濃度)は、NaとKに関しては明らかに塩濃度に対し1次関数的な増加を示し、従来報告されている結果と一致する結果が得られた。しかし、実験結果にややばらつきが見られるが、Ca、MnおよびFeに関してもNaおよびKと同様に塩濃度に対し1次関数的に増加する傾向がみられ、従来の結果とは異なる結果が得られた。Mgに関しては、塩濃度の増加につれてむしろ減少する傾向がみられた。今後、異なった組成を持つ花崗岩を用いて同様の実験を行い、実験結果の検証を行う予定である。 鉱床を伴う花崗岩体の調査では、タイの錫鉱床を伴う中部および西部花崗岩を調査対象とした。調査の結果は下記の通りである。両岩体ともイルメナイト系で、IタイプとSタイプとの境界的な組成を示す。また、両岩体ともSnに富んでいるが、特に、西部岩体のSn含有量が高くなっている。希土類元素パターンにおいて、両岩体とも負のEu異常を示し(西部岩体の方が負の異常が大きい)、還元的な環境における分化によって生成されたと考えられる。微量元素による分類図では、両岩体はプレート内花崗岩~衝突帯花崗岩に分類される。両岩体の黒雲母中の全Al量は2.4~3.3であり、日本の錫を伴う花崗岩体の黒雲母と一致する結果が得られた。また、黒雲母のMg/(Mg+Fe)モル比は、0.23~0.39であった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

花崗岩質マグマ-熱水間における元素分配の塩濃度依存性実験に関しては、一つの花崗岩試料に対してNaCl濃度0.5~3.0mol/lの範囲において実験を行った。しかしながら、Mgの分配に関して、固相中の濃度が低いことが原因であると思われるが、精度の高い実験を行うことができなかったので、次年度はこのことを解決して実験を実施する予定である。今年度は複数の花崗岩試料を用いて実験を行う予定であったが、一つの花崗岩試料に対する実験に留まった。 タイの花崗岩調査に関しては、予定通り調査および各種化学組成分析を進めることができた。今年度は7月に、タイ南部の中央花崗岩体および西部花崗岩体に対して調査を行い、適切な数の試料採取を行うことができた。また、採取した岩石に対する全岩化学組成分析および鉱物化学組成分析を終えることができるとともに、これらの結果に対する考察も順調に終えることができた。

Strategy for Future Research Activity

2012年度では、2011年度に実験を行った試料とは異なった花崗岩試料を用いて、花崗岩質マグマ-熱水間元素分配に対する塩濃度依存性実験を行う予定である。2011年度の実験では、Mn およびMgの分析に関して課題が残されたので、これらの元素を出発溶液に添加するなどの工夫を行い、実験を進める予定である。また、これに加えて、鉱物と塩化物水溶液間における希土類元素の分配実験も実施する予定である。 他方、タイの花崗岩に関しては、バンコク南東部地域を対象とし、昨年度調査を行った中部花崗岩体に加えて、東部花崗岩体の調査を行う予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

2012年度の予算は、昨年度の繰越金を含めて863,107円である。繰越金63,107円が生じた主たる理由は、消耗品の購入が予定より多かったが、人件費およびその他の費目の岩石の化学組成分析依頼費用が予定より少なかったことにある。2012年度での予算の使用予定は次の通りである。今現在、岩石薄片作製装置が壊れているが、装置が古いため部品がなく、その修理ができない状況にある。そこで、他の研究費を用いて新しい薄片作製装置を購入する予定である。しかし、この場合、小型のダイアモンドカッターが必要となるため、物品費として、この購入に315,000円を充てる。また、薄片作製時に必要な各種研磨剤、耐水研磨紙、ダイヤモンドペーストや花崗岩質マグマ-熱水間元素分配実験で使用する薬品代などの消耗品代として98,107円を使用する予定である。 今年度においては、昨年度に引き続きタイの花崗岩調査を実施するが、その調査費用としてレンタカーの使用料を含めて300,000円を予定している。また、調査で採取した花崗岩試料の化学組成分析依頼費用として150,000円を計上する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2012 2011

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Petrogenesis and Solidification Depth of the Jurassic Daebo and Cretaceous Bulguksa Granitic Rocks in South Korea2012

    • Author(s)
      Etsuo Uchida
    • Journal Title

      Resource Geology (in press)

      Volume: - Pages: -

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 韓国のジュラ紀および白亜紀花崗岩類の全岩および鉱物化学組成における特徴2011

    • Author(s)
      内田悦生
    • Organizer
      資源地質学会
    • Place of Presentation
      東京大学
    • Year and Date
      2011年6月23日

URL: 

Published: 2013-07-10  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi