2011 Fiscal Year Research-status Report
ベルト式連続吸着分離・回収装置による廃棄二次電池からのコバルト回収・再資源化
Project/Area Number |
23560996
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
中村 秀美 奈良工業高等専門学校, 物質化学工学科, 教授 (70198232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 昇 和歌山工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (50280433)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 吸着 / イオン交換 / リサイクル / 有価物回収 |
Research Abstract |
使用済み二次電池の正極材にはニッケル、コバルトの2元素、あるいはマンガンを加えた3元素が含まれているが、原料のコバルトが高いうえ、コバルトを回収し再生するのに高コストがかかる欠点があった。資源回収と環境保全の両面においてこの3元素を単元素に分離し、リサイクルする技術の開発は緊急の課題である。本研究では吸着法に着目し、イオン交換繊維を用いて廃棄二次電池の正極部分に含まれるコバルトをpH 操作のみで完全に吸着分離・回収・資源化することを目指す。その方法として、全く新しい発想に基づく布状イオン交換繊維を用いたベルト型連続式分離・回収装置を開発し、廃棄二次電池からのコバルト回収・再資源化の実験を行う。 今年度はオリジナルの弱アニオン性架橋キトサン繊維および市販の強アニオン性、弱アニオン性イオン交換繊維を用いたバッチ法によるニッケル、コバルト、マンガンイオンの単成分系、二成分系、三成分系の吸着平衡特性(吸着量のpH依存性、等pH吸着等温線)の検討を行った。その結果、弱アニオン性キトサン繊維やイオン交換繊維を用いた場合、単成分系においては吸着量のpH依存性は各金属で異なった挙動を示すことから、pHを変化させた場合の吸着量の違いを利用して、各金属の分離が可能であることを見出した。さらに、単成分系の吸着平衡関係はよく知られたラングミュア吸着等温式によってよく相関できることがわかったが、二成分系、三成分系での吸着平衡関係はお互いの金属が影響しあい、より吸着剤の分離性能が高くなった。多成分系の吸着平衡関係は単にラングミュア吸着等温式を多成分系に拡張した式では相関できないため、新たな理論の構築が必要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
架橋キトサン繊維およびイオン交換繊維を用いたバッチ法によるニッケル、コバルト、マンガンイオンの単成分系、二成分系、三成分系の吸着平衡特性の検討を行った結果、pH操作のみで各金属の完全分離の可能性を見出した。 単成分系の吸着平衡関係はよく知られたラングミュア吸着等温式によってよく相関できることがわかったが、多成分系の吸着平衡関係は単にラングミュア吸着等温式を多成分系に拡張した式では相関できなかったため、さらにいろいろな因子を考慮し、新たな理論の構築が必要であることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
架橋キトサン繊維およびイオン交換繊維を設置した攪拌槽にて、ニッケル、コバルト、マンガンイオンの吸着速度の測定実験を単成分から多成分系まで行うとともに、各金属イオンの分離能の検討を行う。その結果より、プロセス構築に最適な条件を探索し、各金属イオンの分離・濃縮回収を目指す。 キトサン繊維やイオン交換繊維を布状に加工し、全く新しい発想に基づき開発した布状繊維を用いたベルト式連続吸着分離・回収装置を製作する。金属イオンの吸着平衡特性や分離能の結果から得られた最適条件をもとに、使用済み二次電池からコバルトを分離回収する吸着分離プロセスを構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
新しく開発するベルト式連続吸着分離・回収装置の製作に研究費の大部分をあてたい。
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