2013 Fiscal Year Annual Research Report
ベルト式連続吸着分離・回収装置による廃棄二次電池からのコバルト回収・再資源化
Project/Area Number |
23560996
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
中村 秀美 奈良工業高等専門学校, 物質化学工学科, 教授 (70198232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 昇 和歌山工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (50280433)
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Keywords | 吸着 / イオン交換 / リサイクル / 有価物回収 |
Research Abstract |
使用済み二次電池の正極材にはNi、Coの2元素、あるいはMnを加えた3元素が含まれているが、原料のCoが高いうえ、Coを回収し再生するのに高コストがかかる欠点があった。本研究では吸着法に着目し、イオン交換繊維を用いて廃棄二次電池の正極部分に含まれるCoをpH 操作のみで完全に吸着分離・回収・資源化することを目指し、検討を行った。 吸着平衡特性ではキレート繊維において各金属の吸着量に大きな差が見られ、pH=1ではNiのみが吸着されたことよりNiとCo, Mnを分離できる可能性が示唆された。また、Co, Mnの二成分系ではMnは吸着されず、Coのみがキレート繊維に吸着されることより、Coの分離が可能であることが明らかとなった。 分離特性では、pH=2、3の破過曲線より6時間の操作時間でもNiの破過が見られなかったことより三成分からNiのみを完全分離ができること、Co, Mnの二成分系においてはpH=3でCoの破過が見られなかったため二成分を分離可能であることがわかった。このことよりキレート繊維を用いて、まずpH=2の三成分系の金属イオン溶液をカラムに通すことによりNiのみを吸着分離し、流出液をpH=3に調製後、さらにキレート繊維のカラムに流通させることで、Coのみが繊維に吸着されるので、3成分の完全分離が可能となる。さらに、Coを吸着した繊維にHClを流通させることによりCoを効率よく分離・回収することができると考えられる。 これらの結果をもとに、キレート繊維を布状に加工し、全く新しい発想に基づく布状繊維を用いたベルト式連続吸着分離・回収装置を製作した。廃棄二次電池の正極部分に含まれる3元素(Ni,Co,Mn)を溶解したモデル溶液を用いて、溶液濃度やベルトの移動速度などを変化させて、多成分系金属イオン溶液からのCoの分離回収を試みた結果、Coを効率よく分離・回収することができた。
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