2013 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマ・壁相互作用研究ツールとしてのグロー放電発光分析の高度化
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23560998
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
波多野 雄治 富山大学, 水素同位体科学研究センター, 教授 (80218487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤丸 悟士 富山大学, 水素同位体科学研究センター, 助教 (10420324)
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Keywords | プラズマ・壁相互作用 / 機器分析 / 薄膜 / 表面・界面 / プラズマ応用 |
Research Abstract |
グロー放電発光分析(GDOES)では、固体試料にプラズマを照射し、スパッタリングによりプラズマ中に混入した原子の発光強度の時間変化から試料中の元素の深さ方向分布を求める。各元素の発光強度はプラズマの条件と共に、試料のスパッタ速度および原子の発光効率できまる。炭素をプラズマ対向材料として用いる核融合実験装置では、真空容器内壁に炭素と水素同位体の共堆積層が形成され、これが容器内の水素同位体蓄積を支配する。従って、共堆積の厚さ及び水素同位体含有量の測定は重要であり、GDOESは最適な手法の一つであるが、これまで共堆積層のスパッタ速度に及ぼす水素濃度の影響については知見がなく、測定の障壁となっていた。そこで今年度は、水素濃度が異なる共堆積層試料を調製し、GDOES測定時のスパッタ速度に及ぼす水素濃度の影響を調べた。 鏡面研磨・脱ガス処理したステンレス鋼基板上に、スパッタ法およびイオンプレーティング法で炭素‐水素共堆積層を形成させた。昇温脱離法で求めた水素濃度は、前者でH/C~0.1、後者ではH/C~0.01であった。また、両者は大きく異なるラマンスペクトルを示した。これら共堆積層をGDOES装置内で種々の時間スパッタしたのち、クレーターの深さを触針式表面粗さ計で測定した。バルク黒鉛(ISO-880U)についても同様の測定を行った。共堆積層のスパッタ速度はバルク黒鉛に比べて明らかに大きかったが、水素濃度による差異は見られなかった。すなわち、H/C~0.01以上であれば、GDOES測定時の共堆積層スパッタ速度に及ぼす水素濃度および欠陥構造の影響は小さく、異なる条件で形成された共堆積層の測定結果を直接比較できることがわかった。また、共堆積層のスパッタ速度は下地金属と比べ小さく、界面近傍ではスパッタ速度が深さと共に連続的に変化することから、界面近傍の元素プロファイルの解釈には注意が必要であることも明らかとなった。
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