2012 Fiscal Year Research-status Report
プラズマ計測のためのエックス線検出器の高計数率化とノイズ耐性強化の研究
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23561001
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
武藤 貞嗣 核融合科学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (40260054)
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Keywords | X線 |
Research Abstract |
本年度は、3.0 keVから30 keVまでの分光を行なうためのアルミニウム製円盤型光学素子を作成した。その光学素子は回転することによってX線を分光するため、回転装置も調達した。光学素子の回転数は最大10,000 rpmであり、1回転で2回の分光ができるので少なくとも最大5.0 msの時間分解能でX線のスペクトルを測定できる性能である。尚、時間分解能を速くするためには、光学素子を高速回転させる必要があり、大気の粘性を避けるべく装置を真空仕様とした。 本年度は、高エネルギー加速器研究機構の放射光科学研究施設の利用実験が認められた。当該施設を共同利用する場合、課題申請を行なわなければならないが、本研究の審査結果としては、年3回募集されるマシンタイムそれぞれに於いて連続5日間の実験ができる程の高得点を得た。本研究では、2結晶分光器を通った単色化された放射光を利用する。特に本研究が利用するビームライン14Cの場合、分光器が熱的に安定して光軸が定まるまでに要する時間が約2日間であり、本研究は、高精度測定を行なう機会を実際に得ることができた。 本年度は、管理区域入域手続きを含め放射光科学研究施設に於ける最初の実験まで到達できた。実際、ビームライン14Cに装置を持ち込み、2月9日から11日にわたってX線照射を行ないつつ装置の光軸調整を行ない、光学素子及び検出器の制御及びビームラインのX線エネルギーの設定方法を確認した。また、光軸の安定性についてもビームモニターによる経時変化を測定して逐次確かめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最も重要な課題の一つが、エネルギー分解能の評価である。この実験を遂行するために光子のエネルギーを連続的に変えることのできる放射光源を利用しなければならない。また、光軸の安定性も求められ、実験ハッチ内に装置を設置して遠隔制御によってデーターを取得することも必須条件となる。本年度は、高エネルギー加速器研究機構の放射光科学研究施設の利用実験が認められ、光軸が安定する2日間を上回る5日間のマシンタイムが配分される見込みとなり、装置を設置して実際に遠隔制御を行なって動作を確認することもできた。また、結晶分光器から出射する一次光と二次光の内、エネルギーの低い一次光をローパスフィルターで桁違いに減衰させ、二次光のみを単色光として利用できていることも確認できた。 次回実験として、次年度平成25年6月7日から11日までの5日間の配分を受けた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は放射光を用いたアルミニウムのエネルギー分解能の評価に焦点を絞る。マシンタイムとしては、5日間年間3回の合計15日間を予定しているが、エネルギー分解能の限界値のX線エネルギー依存性をできるだけ細かいピッチで測定して吸収係数から予測される理論値と比較する。この実験は本研究の代表者等が知る範囲で初めての試みとなる。この結果が明らかに成り次第、論文を発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在、使用しているX線検出器は、単素子型の半導体検出器である。次年度は、多素子型検出器の調達に研究費を割り当てる。但し、当初予定していた多素子型半導体検出器の調達を受光素子のみの調達に改め、多チャンネルのアナログデーターをデジタル化するLSI(ASIC)については設計から作成まで研究代表者等が自ら行い、そのASICとデジタル化されたデーターをイーサーネットへ転送できるFPGA制御のSiTCPと調達する受光素子を100 × 200 mm2程度の小型基盤1枚に集約して搭載し、1ボード型の検出器を完成させる。
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Research Products
(1 results)