2013 Fiscal Year Research-status Report
ヘリカルプラズマにおける電場の自律的振動と輸送障壁に関するダイナミクス解析研究
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23561002
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
登田 慎一郎 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (60332186)
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Keywords | 核融合プラズマ / 閉じ込め / ダイナミクス / 輸送 / モデリング |
Research Abstract |
磁気核融合装置におけるプラズマ閉じ込めにおいて,乱流輸送は最も重要な研究課題の一つである。プラズマ性能の改善には,プラズマ乱流輸送についてさらなる研究が必要である。ジャイロ運動論方程式を解くGkVコードを用いて,ヘリカルプラズマにおける乱流輸送について,大型ヘリカル装置(LHD)でのイオン温度勾配不安定性(ITG)モードや帯状流について研究する。ITG乱流の場合,イオン熱拡散係数はジャイロボーム熱拡散係数とある関数の積とする。用いる関数はITG成長率,磁気シアパラメータ,帯状流の崩壊時間に依存する。輸送コードで乱流輸送係数にどのモデルを選ぶべきか決めるために,どのモードが不安定化しているか研究する必要がある。最初のステップとして,LHDでの高イオン温度放電におけるITGモードについて研究を行った。帯状流の効果はモデリングの際には取り入れていない。GKVコードによる線形解析より,線形成長率の飽和レベルを調べ,その波数依存性を調べる。そしてイオン乱流輸送係数として混合長概算により,成長率と波数から,その値を決める。その値を大半径のイオン温度勾配長に対する比に比例する形でモデル化する。同時にITGモードが安定なときはその値がゼロになるようにモデル化する。径方向に安全係数,密度,温度が変わる。従って,径方向に比例係数や,ITGが不安定化するイオン温度勾配長を求める。モデル化したイオン乱流輸送係数を用いて,イオン温度のダイナミクスを輸送コードにより解析する。イオンの加熱入力分布は,統合コードから求める。初期条件として,LHDでの高イオン温度放電で定常と考えられるイオン温度分布を用いる。解析の結果,多重解から正の電場を選んだ時に,実験結果と矛盾のない結果が得ることができた。多重解から負の電場を選ぶと,多重解から正の電場を選んだ場合のイオン温度勾配と比べて,大きな違いが見られる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画における平成25年度以降の研究目的は,乱流を運動論的に取り扱った研究から導かれた輸送係数の導入を行うことであった。イオン温度勾配不安定性の場合において,運動論的解析により,線形成長率とポロイダル波数から得られた輸送係数を,イオン温度勾配不安定性において重要な物理パラメータによって更にモデル化した。モデル化した輸送係数を用いて,輸送コードによりイオン温度分布の時間発展を追い,大型ヘリカル装置での実験結果との比較を始めた。その研究成果について学会発表を行った。したがって「(2)おおむね順調に進展している 。」の評価を行なっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,イオン温度勾配モードが不安定化しているパラメータ領域で,イオン熱拡散係数のモデル化を統合輸送コードに導入するために行った。今後はまず,モデル化したイオン熱拡散係数を統合輸送コードに導入する。イオン温度のダイナミクスを考察し,大型ヘリカル装置での実験結果との比較を行う。さらに帯状流の崩壊時間を取り入れたモデル化を行う。実験結果との比較考察から,モデル化の精密化を行う。更に捕捉電子モードや電子温度勾配モードが不安定化しているパラメータ領域での,熱拡散係数のモデル化を行う予定である。また,ヘリカルプラズマにおいて,径電場は乱流輸送や新古典輸送に大きな影響を与える。統合輸送コードに異常輸送係数を導入する際に,径電場をどのようにモデル化するかについて研究を続ける。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
乱流を運動論的に取り扱った研究からモデル化した輸送係数の導入を始めることが,本年度の研究目的であった。運動論的解析を行っている研究者との議論を出張をせずに行うことができた。従って当初の予定よりも少ない国内,国際出張の数で,順調に研究成果をあげることができたからである。 研究経費は主に,研究の成果を報告し,共同研究者と議論するための国内,外国旅費に使われる。 線形成長率の波数依存性を調べることが,乱流輸送系数のモデル化には重要である。九大応力研では,乱流計測シミュレータにより 乱流の揺動振幅の波数依存性を調べている。この依存性との相違点を調べることで、乱流輸送の理解に大きく貢献することが期待できる。その議論のための核融合科学研究所と九州大学応用力学研究所との間の出張旅費として使用される。また,新規の研究成果を海外 ,国内の学会で報告するために,旅費として使用される。 研究成果発表資料をまとめるのに必要なソフトウェアやパーソナルコーンピューター用の消耗品(ディスクやプリンタで使う消耗品等 )を購入する予定である。次年度においてその成果を報告し, 他の研究者と議論する出張に研究費を使う。
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