2014 Fiscal Year Research-status Report
ヘリカルプラズマにおける電場の自律的振動と輸送障壁に関するダイナミクス解析研究
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23561002
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
登田 慎一郎 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (60332186)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2017-03-31
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Keywords | 核融合プラズマ / 閉じ込め / ダイナミクス / 輸送 / モデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
ジャイロ運動論方程式を解くGKVコードを用い,大型ヘリカル装置(LHD)でのイオン温度勾配不安定性(ITG)モードや帯状流について研究する。イオン熱拡散係数はジャイロボーム熱拡散係数とある関数の積とする。ある関数はITG成長率の混合長概算,磁気シアパラメータ,帯状流の崩壊時間に依存する。イオンの熱拡散係数について,線形ジャイロ運動論解析から計算される混合長概算と帯状流崩壊時間の関数が簡約化モデルとして導出されている。時間発展を解く輸送コードの中で時間ステップごとに,ジャイロ運動論線形解析を行うことは非常に計算コストがかかる。輸送コードで乱流輸送係数にどのモデルを選ぶべきか決めるために,多くの微視的不安定性からどのモードが不安定化しているか,そしてその乱流レベルを評価する必要がある。最初のステップとして,LHDでの高イオン温度放電(ショットナンバー88343)におけるITGモードについて研究を行った。混合長概算の値を大半径のイオン温度勾配長に対する比に比例する形でモデル化する。径方向に安全係数,密度,温度が変わる。従って,径方向に比例係数や,ITGが不安定化するイオン温度勾配長を求める。また帯状流崩壊時間の径方向依存性を調べる。このとき,磁場配位を時間的に固定する。さらなるモデル化によって,高速に簡約化モデルの値を十分な精度で再現することができた。モデル化したイオン乱流輸送係数を用いて,イオン温度のダイナミクスを輸送コードTASK3Dにより解析する。イオンの加熱入力分布は,TASK3Dから求める。解析の結果,多重解から正の電場を選んだ時に,実験結果と矛盾のない結果が得ることができた。このときの計算コストは,輸送コードの時間ステップごとにジャイロ運動論線形解析を行う場合と比べ,非常に少ない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度以降の研究計画は乱流レベルを運動論的シミュレーションにより評価し,輸送係数に反映させることであった。イオン温度勾配不安定性のみが励起している場合において,ジャイロ運動論方程式の線形解析を行った。その解析により,不安定性に重要な物理パラメータを選び,輸送係数のモデル化を行った。時間発展を追える輸送コードにより,イオン温度分布の時間変化を調べ,大型ヘリカル装置での実験結果の比較を行うことができた。その結果ある程度の一致を見ることができている。研究成果について論文発表,学会発表を行っている。したがって「(2)おおむね順調に進展している。」の評価を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでLHD高イオン温度モードである1ショットを対象として,線形化されたジャイロ運動論的方程式の解析を行い,イオン熱拡散係数のさらなるモデル化を行った。その結果,イオン熱拡散係数を輸送コードTASK3Dに取り入れ,高速に計算結果を得ることができている。さらにプラズマパラメータにおいて,ある程度のサーベイを行うために,LHDにおける他のショット(high Tiモード)でのITGモード解析を行う予定である。その後,捕捉粒子不安定性モード(TEM)がITGモードと共存する場合,また独立に存在する場合の輸送解析を行う予定である。その際,簡約化モデルをこれまで用いたさらなるモデル化により,輸送コードに取り入れる。 また,実験結果から異常輸送係数を評価するには,新古典輸送の正確な評価が必要となる。そのために多種イオン系の計算ができるコードPENTAをTASK3Dに導入する予定である。
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Causes of Carryover |
乱流レベルを運動論解析から求めた研究から,モデル化した輸送係数の統合コードへの導入を始めることができた。その成果を,国際会議3件,国内会議2件で,報告することができた。会議での議論を通して,順調に研究成果をあげることができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究経費は主に,研究成果を報告し,共同研究者と議論するための国内,海外旅費として使われる。 プラズマ不安定性モードにおける線形成長率の波数依存性を調べることが,乱流輸送係数のモデル化の際に重要である。九大応力研では,乱流計測シミュレータにより乱流揺動振幅の波数依存性が調べられている。この依存性との相違点を調べることにより,乱流輸送の理解に大きく貢献することが期待できる。その議論のための出張旅費として使われる。また,新規の研究成果を海外,国内の学会で報告するための旅費として使われる。次年度において,他の研究者と議論するための出張にも研究費を使う。
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