2011 Fiscal Year Research-status Report
超高密度プラズマの中心部加熱条件探査のための電子バーンシュタイン波放射計測
Project/Area Number |
23561006
|
Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
伊神 弘恵 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (10390634)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 電子バーンシュタイン波 / 高密度プラズマの加熱 / 放射計測 |
Research Abstract |
大型ヘリカル装置(LHD)では中心密度が基本電子サイクロトロン共鳴周波数の遮断密度の10倍を越える、超高密度プラズマが生成される。その中心部の局所加熱には第二高調波共鳴周波数帯の電子バーンシュタイン波加熱が有効であると考えられる。電子サイクロトロン共鳴加熱(ECH)用のアンテナと伝送系を用い、加熱の逆過程として電子バーンシュタイン波として熱輻射され、電磁波へのモード変換過程を経てプラズマ外部に放射される波の観測を行い、中心部加熱に有利な第二高調波共鳴周波数帯のミリ波入射条件を探査することが本研究の目的である。平成23年度は、ECH伝送系の中途にマイタベンドを設置し、その先の導波管の端部に集光ミラーを設置してホーンアンテナにプラズマからの放射を導入し、ダブルサイドバンドラジオメータで検波するシステムを構築した。平成24年度より154GHzジャイロトロンが導入が予定されていることを考慮し、ペレット入射による長時間高密度プラズマ維持実験の際に、153GHz帯の放射を計測した。アンテナの照準方向は、数値計算による高い電磁波と電子バーンシュタイン波のモード変換効率が得られると予想される方向に設定した。トムソン散乱計測より、ペレット入射時にはプラズマ中心部では密度の上昇と温度の減少が観測された。一方ラジオメータの信号出力は、温度が高い時にはプラズマが存在しない場合のノイズレベルと区別できるレベルの信号が計測されるが、温度が低くなると減少し、カットオフ密度を越えた際に有意な信号かノイズレベルが判断できない状態であった。S/N比が十分でなく、モード変換効率の分の放射強度の減少を観測できる状態とはならなかったため、電子バーンシュタイン波由来の放射電磁波の計測には至らなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に別予算で購入したハーモニックミキサを使用したラジオメータのS/N比が悪く、モード変換窓探査を行うのに十分な信号強度が得られなかった。また光線追跡計算により、任意のアンテナ照準設定に対してカットオフ近傍で磁場に垂直方向の屈折率が最小になる点を探し、その位置のプラズマパラメータと波動の屈折率からモード変換効率を計算するということをしてモード変換窓を予測しているが、おそらくプラズマパラメータをメッシュデータから求めているために、磁場に垂直方向の屈折率が最小となる位置が正確に求まっていないことがわかってきた。この問題を改善し、モード変換窓の位置予測の正確性を上げる必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に別予算にて高感度のサブハーモニックミキサを購入することができた。既存のガンオシレータを局部発振器として使用し、ラジオメータの高感度化を行う。また、平成23年度にラジオメータを設置した伝送系には、154GHzジャイロトロンが新たに設置されるため、この系統を用いて十分なモード変換窓を探査するだけの実験時間をとることが困難であると予想される。このため、計測する伝送系統を移動する。また、数値計算においては、モード変換窓位置予測の精度を上げるため、カットオフ付近のプラズマパラメータの与え方をメッシュデータではなく、平衡計算データと磁場計算から直接与えるようにする、もしくは計算手続きの工夫を行い、現在の手法及び、上述のパラメータを直接与える方法とで、予測されたモード変換窓位置が異なるかを確認する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1. ラジオメータ高感度化:IFアンプを購入する。このIF周波数が前年度のシステムと異なるため、適切なフィルタを新たに購入する。また、バンドパスフィルタを購入する。2. 伝送系等の移動:計測する伝送系等を移動し、立体回路を新たに構築する。3. 数値計算とデータ収集:実験データ処理と数値計算のためのPCを購入する。
|
-
-
-
[Presentation] LHDにおけるOXBモード変換過程を介した電子バーンシュタイン波加熱2011
Author(s)
伊神弘恵, 久保伸, 下妻隆, 吉村泰夫, 高橋裕己, 出射浩, 西浦正樹, 小笠原慎哉, 牧野良平, 熊沢隆平, 武藤 敬
Organizer
Plasma Conference 2011
Place of Presentation
石川県立音楽堂
Year and Date
2011年11月24日