2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23561014
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
執行 信寛 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40304836)
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Keywords | 断面積 / 軽核 / 陽子 / 中性子 / シンチレータ / 飛行時間法 |
Research Abstract |
原子核反応断面積を測定するために、70MeV陽子ビームがターゲットに入射した際の中性子二重微分断面積測定を想定し、放射線医学総合研究所サイクロトロン加速器施設において、テスト実験を実施した。 中性子検出器には直径と長さが5.08cmのNE213液体有機シンチレータを使用し、中性子の運動エネルギーはターゲットのすぐ上流に設置したプラスチックシンチレータを用いたビーム検出器と中性子検出器間の飛行時間法により導出することとした。 通常サイクロトロンから出射されるビームは時間幅が非常に広いために、そのままでは飛行時間法でエネルギーを測定できない。そのため、サイクロンの運転パラメータを調節し、ビーム強度は低くなるが2ns以下の短パルス幅として取り出すこととした。しかし、サイクロン周波数が19MHzであるため、飛行時間が50nsを超える低エネルギー中性子の測定は不可能となることがわかった。 中性子検出器は中性子以外のガンマ線や荷電粒子にも有感であるため、中性子検出器の前面に設置した厚さ2mmのプラスチックシンチレータによるベト検出器により、荷電粒子と非荷電粒子(中性子とガンマ線)を識別して、中性子検出器の発光パルスの減衰成分でガンマ線と中性子を識別した。 バックグラウンド事象を差し引くために、長さ110cmの鉄のシャドーバーの設置を考慮したが、これはビーム検出器と中性子検出器の距離が約2m以上離れている場合にのみ設置可能であることがわかったため、ターゲットを外した測定でバックグラウンド事象の測定とした。 この結果、数10MeV以上の中性子を測定する場合は、ビーム検出器と中性子検出器の距離を2m以上確保して測定できることがわかったが、10MeV以下の中性子を測定する場合には、ビーム検出器と中性子検出器の距離を約1mまで近づけて測定する必要が有ることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、テスト実験として陽子入射中性子生成二重微分断面積を導出することを目指したが、テスト実験の結果、検出器などの配置を最適化し、加速器ビームを使用した実験時間を長く確保しなければならないことがわかったため、最終的な断面積を導出できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
中性子二重微分断面積測定するための実験条件に関する情報が得られたため、実験条件を最適化して断面積測定を実施する。 CCONEなどの最新の原子核反応計算コードを改良して使用することで、実験値との比較および実験点以外のエネルギーの断面積データを計算し、データを充実させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
中性子二重微分断面積を測定する際の実験旅費や物品費、原子核反応コードで計算するための計算機、成果を発表するための旅費や参加費として使用する。
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