2012 Fiscal Year Research-status Report
素子のナノ構造化・単結晶化による新型有機半導体放射線検出器の開発
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23561017
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
高田 英治 富山高等専門学校, 専攻科, 教授 (00270885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 義彦 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50285300)
浅井 圭介 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60231859)
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Keywords | 放射線 / 有機半導体 / ナノモールディング / 結晶化 / 効率 |
Research Abstract |
有機半導体放射線検出器の構造や組成を改良することで、放射線に対する測定効率を向上させるための研究を実施している。主な手法としては、(1)素子のナノ構造化による電荷収集効率の向上及び(2)素子材料の結晶化による電荷収集効率の向上を検討した。 (1)素子のナノ構造化による電荷収集効率の向上 P3HTを100nm厚さでスピンコートした後、モールドにより幅100nmの凹凸を作成した。その上からPCBMをスピンコートし、P型(P3HT)とN型(PCBM)が櫛のように凹凸形状をなす検出器を製作することに成功した。この素子に対して可視光及びX線を照射して発生電流を評価したところ、凹凸が無い場合に比べ可視光で15%程度、X線では50%近い誘起電流の増加が観測された。この結果から、ナノ構造化することで検出器の効率向上に成功したということができる。しかし、現在の素子でも発生電流の絶対値は十分ではないと考えられ、今後は厚さ、凹凸のピッチ等を変更し、より効率向上を目指す予定である。 (2)素子材料の結晶化による電荷収集効率の向上 バルクヘテロ型有機半導体放射線検出器の製作に当たり、スピンコートした後、乾燥するまでの時間が短いと、素子内の結晶化が十分に進まないものと考えられる。そこで、本研究では有機材料を溶解する際に高沸点溶媒を用い、乾燥をゆっくりと進めることで素子内の結晶化を促すことを試みた。実際には高沸点溶媒としてo-DCBを用いたところ、従来使用してきたトリクレンに比べ、X線照射時の誘起電流が10~15%増加することが示された。今後、政策プロセスの改善を通じ、さらに効率向上を試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
素子のナノ構造化に関してはヘテロ型でナノ構造をもたない素子に比べ、効率向上を確認しており、概ね順調に成果を上げることができている。 一方、結晶化に関しては高沸点溶媒の使用により効率が向上する見込みを得た。今後、データの蓄積を通じて再現性を確認するとともに、実験条件のさらなる最適化を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度までに、ナノ構造化及び結晶化ともにある程度の成果を上げ、研究の方向性を決定することができている。平成25年度にはこれまでの成果をもとに、下のような研究を進める予定である。 (1)素子のナノ構造化による電荷収集効率の向上 素子のナノ構造化及びそれによる効率向上の可能性は示したので、今後はさらに素子構造に工夫を行い、形状等の最適化を行う予定である。また、これまではヘテロ型素子との効率比較を主に行ってきたので、今後はバルクヘテロ型素子並みの効率を目標とし、検討を行う予定である。 (2)素子材料の結晶化による電荷収集効率の向上 結晶化による効果は確認したが、データ数が十分ではない。そこで、同様の条件で再現性をチェックするとともに、製作条件の最適化を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に製作条件の検討など、可能な限り素子作成の最適化を行ったが、一部の条件に関し十分な検討が行えなかった。そこでその部分の検討に要する試薬等の経費を平成25年度に使用するよう、計画を修正した。そのため、平成25年度使用額:201,983円が発生した。 経費の使途としては、 ①製作に用いる試薬(P3HT、PCBMなど):40万円~50万円程度 ②実験に用いる消耗品(素子用測定箱など):10万円程度 ②実験・学会発表の際の旅費(KEK):30万円~40万円程度 を予定している。
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Research Products
(4 results)