2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23561018
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
永井 良治 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (40354906)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 光共振器 / レーザー・コンプトン散乱 |
Research Abstract |
核共鳴散乱を用いた同位体の非破壊分析などの光源として必要性が高まっている単色ガンマ線生成のためのレーザーコンプトン散乱において、エネルギー広がりが1万分の1以下のガンマ線を生成することを目的とした単一波長・低繰り返しのレーザーを蓄積し効率よく利用するための光蓄積装置の研究を進めている。3ヵ年の研究計画の1年目にあたる平成23年度は、以下を実施した。(1) レイトレーシング法を用いた数値計算により非対称ファブリペロー型共振器の詳細設計を行った。この結果、球面ミラーを用いた従来の光共振器では、周回ごとの周回時間に差の発生、球面収差による不十分な集光性により光蓄積装置として十分に機能しないことが分かった。(2) (1)の問題を解決するために、放物面鏡を用いて、非対称ファブリペロー型共振器を構成することを発案し、同様の数値計算により検証を行った。この結果、(1)の問題を解決でき光蓄積装置として十分に機能することが分かった。(3) (2)の詳細設計を基に、放物面鏡及び電子ビームの通るビームラインに挿入可能なミラーホルダを製作し、実際の放物面鏡を用いた非対称ファブリペロー型共振器でのHe-Neレーザーの蓄積実験に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに、ファブリペロー型共振器の詳細設計、製作を行い、レーザー光の蓄積実験に着手できた。ファブリペローを構成するミラーとして、放物面鏡を採用することで、周回ごとの同期と非常によい集光性が得られることを数値計算により明らかにできたことは、本課題の目的を達成する上で非常に大きな進展であった。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は1年目に製作した光共振器を用いて、真空中でのレーザーコンプトン散乱実験に向けたレーザー光の蓄積実験を進める。また、数値計算を用いた共振器に必要とされるミラー表面の精度、アラインメント精度についての検討を進めていく。3年目はこの光共振器を電子銃のビームラインに設置し、蓄積したレーザー光に電子ビームを衝突させてコンプトン散乱光を発生させ、電子ビームのエネルギー広がりを反映した光が発生していることを確認し、本課題の目的を達成する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、真空中でのレーザー光の蓄積実験を行う予定であり、そのための真空チャンバの製作および真空部品に研究費を使用する計画である。また、加速器学会、原子力学会などで、昨年度までの成果について発表する予定であり、このために参加費、旅費などにも研究費を使用する計画である。
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