2012 Fiscal Year Research-status Report
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23561019
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
中村 詔司 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究副主幹 (90421461)
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Keywords | ネプツニウム237 / 熱中性子捕獲断面積 / ガンマ線放出率 / マイナーアクチノイド |
Research Abstract |
マイナーアクチノイド核種の中のNp-237は、高速炉の燃焼チェインでPu-239の生成に寄与するとともに、半減期が214万年と長寿命であるために重要な核種である。平成24年度は、Np-237(n,γ)Np-238反応について、昨年度に実施した京都大学原子炉実験所の研究炉を利用して得られた照射データを解析し、Np-237中性子捕獲断面積データを導出した。暫定結果として、183(b)を得た。得られた成果を、2013年原子力学会秋の大会にて発表登録を行った。 中性子捕獲断面積の導出にあたり、解析には核種から放出されるガンマ線の放出率データが必要となる。今回、Pa-233からの312keVガンマ線の放出率データとして、用いる報告値によって結果が変わってしまうことが分かった。そのために、312keVガンマ線の放出率を再測定する必要を見出し、そのための高純度Ge検出器とアルファ線計測システムを整備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Np-237(n,γ)Np-238反応の中性子捕獲断面積測定について、照射とそのデータ解析について、暫定結果を得ることができた。しかし、そのデータをより高精度化するために、もうワンステップの追加測定が必要であることが分かったために、「やや遅れている」と評価、判断した。 また、当初の計画では、ガンマ線放出率データがよく整備されている安定核種を用いて、手法の検証実験を並行して行う予定であったが、研究炉の運転再開の目途が立たず、照射実験が進んでいないことも挙げられる。これらの点は、次年度の推進方策に反映していく。
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Strategy for Future Research Activity |
Np-237(n,γ)反応の中性子捕獲断面積については、データの高精度化を図るために、ガンマ線放出率の再測定を行い、結果の収束を図る。得られた成果を学会発表はもとより、論文に纏めることを並行して行っていく。 さらに、マイナーアクチノイド核種のAm-243について、京都大学原子炉実験所での照射実験を計画(採択済み)している。Am-243(n,γ)Am-244m,g反応の照射実験を行う。先ずは、既知の核準位の情報のみを用いて、ガンマ線計測から、Am-244gからの崩壊ガ ンマ線の放出率を、現在の報告値の誤差29%から3%の精度で導出することを目標にする。得られるガンマ線放出率を用いて、Am-244g生成の中性子捕獲断面積を導出する。また、同時に、Am-244mを測定することを視野にいれて、およそ26分としか分かっていない半減期を測定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費を、京都大学原子炉実験所でのマイナーアクチノイドの照射実験のための消耗品、および実験のための旅費に使用する計画である。 また、得られた成果の発表を行うために、2013年原子力学会(八戸工業大学)、核データ研究会(福井大学)への参加費、旅費として使用する予定である。
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