2011 Fiscal Year Research-status Report
最終集束レンズに加速管を用いたガスイオンナノビーム形成技術に関する研究
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23561020
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
石井 保行 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 高崎量子応用研究所放射線高度利用施設部, 研究副主幹 (00343905)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 小型ガスイオンナノビーム形成装置 / ガスイオンナノビーム / 加速管 / 二段加速レンズ系 / 縮小率 / 収差 / 絶縁物 |
Research Abstract |
本研究の最終目的は、実験室への設置が可能なMeV領域の小型ガスイオンナノビーム形成装置を開発し、ガスイオンナノビームを形成することである。本研究費の範囲では、要素技術として世界最高レベルの高い電圧勾配を持つ300kV用の加速管を開発し、既に開発を終了した二段加速レンズ系との組み合わせにより、世界で初めて加速管を最終レンズとした300keV領域のガスイオンナノビーム形成装置を開発する。初年度のH23年度は、300kV用の加速管を設計・製作した。具体的には、種々な形状の電極に対して有限要素法により電場計算を行い、その結果を基に静電レンズ計算コードを用いて、レンズパラメータの縮小率、集束点と収差計算の基となる球面及び色収差係数の計算を行った。加速管を集束レンズとして使用する場合、電極間を長く、縮小率を大きくすると集束点がレンズの間に形成される。また、電極形状に依存して収差が大きくなり、縮小率通りのビーム形状が形成できない。これらを考慮してレンズパラメータ用いたビーム径や集束点の計算を基に電極形状の最適化を行い、電極間の長さが15mm、電場勾配が20kV/mm、且つ収差が10nm以下となるイオンビーム加速部分の電極形状を求めた。一方、加速管の絶縁に関しては、加速電極間が15mmでは300kVの電圧を印加することが困難でると予想できたため、加速電極部の電極間を短く、絶縁物部は樹脂製の絶縁物の耐圧に合わせて電極間を長くする形状を、更に絶縁物も耐圧が上がる形状を各々考案した。これらの要素を組み合わせて最終的に加速管を設計・製作した。加速管の組み立てに際しては、独自に考案し製作した治具を用いて、光軸をマイクロメートルレベルで調整した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H23年度の研究計画目標である、最高レベルの高い電圧勾配を持ち、且つ最高電圧300kV用の集束レンズ用の加速管の設計・製作を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
当加速管について電圧印加試験を行い、実際に高電場勾配型の加速管であることを確認する。さらに、既存の二段加速レンズ系と加速管を組み合わせて、300keV小型ガスイオンナノビーム形成装置を開発し、ビーム径の測定実験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ビーム電流や荷電粒子を用いたビーム径の測定実験を行なうためのビーム径測定装置を購入する。また、学会での研究成果発表や本研究に関連する情報収集を行うための旅費として使用する。
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