2012 Fiscal Year Research-status Report
固体酸化物形燃料電池における高温電気絶縁の特性解明に基づく設計指針の確立
Project/Area Number |
23561026
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石田 政義 筑波大学, システム情報系, 教授 (30272173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花田 信子 筑波大学, システム情報系, 助教 (00606634)
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Keywords | 固体酸化物形燃料電池 / 高温 / 直流 / 無機絶縁材料 / 部分放電 |
Research Abstract |
固体酸化物形燃料電池(SOFC)の普及拡大のために、高温領域、燃料ガス中での無機材料の電気絶縁現象を解明し、健全性を保証できる絶縁機構および設計方法を確立することを目的とする。本年度は燃料ガスである水素が高温中で無機材料の直流絶縁特性に与える影響を調査した。4種類の無機絶縁材料(アルミナ、マグネシア、窒化ケイ素、マイカ)について温度範囲を600~850℃、雰囲気を水素及び空気として直流絶縁特性を評価した。評価パラメータには絶縁抵抗値(印加電圧50~1000 V)および部分放電電荷量(印加電圧500~2500 V)を用いた。 絶縁抵抗値に関して、600~850℃の温度範囲で空気雰囲気と水素雰囲気の違いが全ての材料においてほとんど見られなかった。見かけの活性化エネルギー(アレニウスプロットの傾き)もこの温度範囲で、空気と水素で変わらないことから材料中の電気伝導に関して水素による影響はないことが示された。材料によって抵抗値に違いがあり、マグネシアが最も大きくなった。部分放電電荷量に関して、600℃付近において空気雰囲気と比べて水素雰囲気で2.5 kV程度の高電圧を印加したときに、全ての材料で放電電荷量が急増する傾向が見られた。原因として材料中のボイド等に水素が入り込み、部分放電が生じる媒体が空気から水素になり放電電圧が低くなったためと考えられる。材料間で大きな違いは見られなかった。 これらの結果から、空気および水素雰囲気で絶縁抵抗値が最も大きくなったマグネシアが絶縁材料として最適であると考えられる。今後はリークした水素ガスの燃焼による熱や火炎が無機材料の絶縁性能に与える影響、短時間連続絶縁試験による影響を評価し、これまでの結果も踏まえて更に最適な材料を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度計画分の「燃料ガスが電気絶縁特性へ及ぼす影響の把握」については、予定通りに達成した。「短時間連続絶縁試験の影響の把握」については、実施していない。本年度の成果を受けて、平成25年度計画分の「水素ガスの燃焼が無機材料の絶縁性能に与える影響の把握」を先に進める必要があると判断し、特性評価のための測定セル設計を前倒しで進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に引き続き、「水素ガスの燃焼が無機材料の絶縁性能に与える影響の把握」を実施する。その結果を受けて連続試験のための条件を検討し、「短時間連続絶縁試験の影響の把握」を実施する。平成23~25年度の結果より,健全性を保証できるSOFCの絶縁機構および設計方法についての指針を構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費は、実験を遂行するための測定用セル・試料一式、試験装置部品一式購入用として使用する。旅費とその他の経費は、研究成果発表のための学会参加と論文投稿用に使用する。
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Research Products
(3 results)