2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23561031
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
原 豊 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60242822)
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Keywords | 低重心風車 / 小型風車 / 風力発電 / 再生可能エネルギー / 空力データ / キャンバー翼 / 翼素運動量理論 |
Research Abstract |
本研究はテーパー翼を特徴とする低重心風車の最適形状探索を主な目的とし、数値計算と模型実験により、翼型およびローター形状の違いによる風車特性の差異を明らかにする計画である。 平成24年度は2%, 4%, 6%の反りを持った非対称翼(キャンバー翼)であるNACA 2518、NACA 4518、NACA 6518の3つの翼型について空力特性の計算を行い、データベースを構築した。失速角以下の小さい迎角において揚力係数およびモーメント係数が一定割合でそれぞれ増加および減少することを見出し、その変化率を表す近似式を求めた。これは今後、予測理論の改善に利用する予定である。また、作成した空力データベースを用いて翼素運動量理論に基づく性能予測を行ってキャンバー翼の風車性能への影響を調べ、外凸キャンバー翼では反りが増加すると出力特性ピーク幅が広がり、内凸キャンバー翼では逆に狭まる傾向を持つことを示した。 実験においては、まず、昨年度の問題であった実験風速を増加させるため、小型風洞の吹出口に収縮ノズルを取付け最大風速を6m/s以上に増加させる改良を行った。対称翼NACA 0018を翼型断面とする模型実験機として、風速6m/sにおいて最大の効率が得られると予想される低重心風車(直径0.4m, 高さ0.25m, 3枚翼)を光造形で製作し性能を調べた。実験結果は理論予測とほぼ同程度の最大トルク係数を示したが、実験の最大トルクを示す回転数は理論予測の約半分の値であり、この差異は湾曲流線の影響が1つの原因であると推測した。また、翼素運動量理論の小型風車への適用にも問題があると考えられ、その補正は今後の課題の1つである。H24年度末までに、キャンバー翼を採用したFRP製の低重心風車模型も製作して予備的実験を行っているが、詳細な実験と解析は翌年度に持ち越しとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
風車特性予測に必要な空力データベースの構築において、当初の計画に比べて計算条件の範囲は狭めることになったが、初年度の対称翼に加えて、第2年度目では3種類のキャンバー翼について、小型風車用として使用可能な空力データベースが作成できた。これを利用してキャンバー翼の影響を理論予測で評価できる状態になったので概ね目的は達成したと考えている。 実験に関しては、翼形状を変えた2種類の低重心風車(対称翼とキャンバー翼)を製作した。製作した模型実験機を用いて風洞実験を行い、得られた実験値と理論との比較、翼型の違いによる性能の比較など、当初の研究目的にあった研究ができている、あるいはできる状態になりつつあるので順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度は、まずキャンバー翼の低重心風車の詳細な性能計測を実施して、結果を対称翼の場合と比較する。また、CFDによっても対称翼とキャンバー翼それぞれを持つ2次元風車の計算を実行し、数値シミュレーションの面から翼型が低重心風車の性能に及ぼす影響を明らかにする予定である。翼素運動量理論に基づく性能予測においては、現状では実験結果との差異が大きく、その原因として小型風車の翼軌道の大きな曲率に起因する湾曲流線の影響が原因の1つと考えられるため、その補正を考え性能予測に組み込むことを計画する。なお、低重心風車の派生形として考案したバタフライ風車の実験および理論性能計算とも関連させ、総合的に小型垂直軸風車の性能予測の改善と高性能風車の最適形状の探索を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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