2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23570006
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中越 英樹 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (50314662)
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Keywords | ショウジョウバエ / マルピーギ管 / 排泄 / プロトンポンプ |
Research Abstract |
ショウジョウバエのマルピーギ管は哺乳類の腎臓に相当する器官であり,体液中の老廃物を尿酸結晶として排出する.マルピーギ管は先端から4つの領域 (initial, transitional, main, proximal) に分けられ,2種類の細胞, 主細胞と星状細胞によって構成される.主細胞は外胚葉由来で核が大きく特異的に転写制御因子 Cut を発現する.それに対し, 星状細胞は中胚葉由来で核が小さく特異的に転写制御因子 Teashirt (Tsh) を発現する. ショウジョウバエのホメオドメイン型転写制御因子Defective proventriculus (Dve) には2種類のアイソフォーム (Dve-A, Dve-B) が存在する.マルピーギ管における Dve-A の発現は,3齢幼虫期以降の全ての領域で検出され,星状細胞よりも主細胞での発現が強い.Dve-B は transitional, main segment の主細胞で強く発現し, 星状細胞では発現していない.Dve を強制発現した星状細胞の核は一回り大きくなり, 主細胞特異的に発現する Cut の発現が誘導された.一方,Dve の発現が完全に消失した主細胞の核は有意に小さくなり, Cut の発現も消失した.また,主細胞で発現するプロトンポンプ V-ATPase の発現も低下していることが明らかとなり,主細胞の形質維持に Dve の機能が非常に重要であることが示された.そこで,マルピーギ管特異的に dve ノックダウンを行ったところ,寿命の短縮や塩ストレス耐性の低下が観察され,体液恒常性の維持における Dve の重要性が明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各細胞種に特異的なトランスポーターの発現変化を調べ,主細胞形質の維持における Dve の重要性を裏付ける結果を得た.また,高イオン濃度負荷に対する影響や寿命に及ぼす効果についても同様に結果を得たため,観察個体数を増やして,再現性の確認に努めている.
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Strategy for Future Research Activity |
マルピーギ管における Dve アイソフォームの機能分担について検討を行うとともに,dve と遺伝的相互作用を示す因子がマルピーギ管の機能分化に果たす役割について検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は,消耗品 800,000 円,旅費 250,000 円,謝金 100,000 円,その他 (印刷費等) 50,000 円, 計 1,200, 000 円を予定している.
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