2012 Fiscal Year Research-status Report
大規模ゲノムの可逆的な逆位による表現型スイッチングについて
Project/Area Number |
23570009
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
崔 龍洙 北里大学, 北里生命科学研究所, 研究員 (50306932)
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Keywords | Genome inversion / Phenotype switching / Small colony variant / Heterogeneity / Genome rearrangement |
Research Abstract |
本研究の目的は、黄色ブドウ球菌をモデルとし、大規模ゲノムFlip-Flop逆位による表現型スイッチングのメカニズムを解明することと、それによるヘテロ性質の形成と維持のメカニズム及びその意義を解明することである。本研究は、「大規模ゲノムのFlip-Flop逆位による表現型switching」、という発見に基づいた発展型研究であるため、失敗のリスクは少ないが、年次に再評価が出来るように設計して実行している。具体的な標そして(i)Flip-Flop逆位に関するゲノム構造の解明と調節ファクターの同定;(ii)表現型switchingよるヘテロ細胞集団の形成と維持のメカニズムの解明;(iii)switchingよる各々表現型の発現の遺伝学的メカニズムの解明である。 今年度の実行目標であった以下4項目は、ほぼ達成できた。1) ゲノムFlip-Flop 逆位の機構の解明; 2) ゲノム逆位を調停するファクターの同定; 3) 自己触媒反応のメカニズムの解明; 4) Flip-Flop逆位が細菌に与えた影響を解明。また、これまでの成果をまとめ、第85回日本細菌学会総会において報告した。また、今まで結果を論文にまとめ、「Coordinated phenotype switching with large-scale chromosome flip-flop inversion observed in bacteria」の題名で、雑誌PNAS (Proceeding of the National Academy of Science of the USA)に掲載した(論文の詳細は以下の項目を参考)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度実行目標の4つのうち、『「1」 ゲノムFlip-Flop 逆位の機構の解明; 「2」 ゲノム逆位を調停するファクターの同定』は完成した。また、『「3」 自己触媒反応のメカニズムの解明; 「 4」 Flip-Flop逆位が細菌に与えた影響を解明』もほぼ完成している。研究の達成度についてですが、当初計画通り進んでおり、最終年度の計画は、予定通り進んでいる。 研究成果の発表状況: 1)Longzhu Cui, et al. Reversible Chromosome Inversion and Bacterial Heterogeneous Population. 第85回 日本細菌学会総会 MAR 27-29, 2012, Nagasaki (長崎), Japan. 2)Cui L, Neoh HM, Iwamoto A, Hiramatsu K. Coordinated phenotype switching with large-scale chromosome flip-flop inversion observed in bacteria. Proc Natl Acad Sci U S A. 2012 Jun 19;109(25):E1647-56. 3)Longzhu Cui. Staphylococcal Phenotype Switching via a Large-scale Genome Flip-Flop Inversion. Speaker at symposium. 15th International Symposium on Staphylococci & Staphylococcal Infections (15th ISSSI), 30 August, 2012, Lyon, France.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究は、計画の通りに進んでいる。25年度に最終年度を向かう本研究は、また以下課題が残っている:ゲノム逆位によるβ-ラクタム薬剤高度耐性のメカニズムを解明。ブドウ球菌の於けるβ-ラクタム薬剤高度耐性は、臨床現場から見ても、古くから大きいな問題である。今年度は、この問題の解決を向かって、多方面的なアプローチで研究を進めたい。例えば、ゲノム逆位がもたらしたβ-ラクタム剤耐性株(LCV)の個々の遺伝子と、β-ラクタム剤感受性株(SCV)の機能変化を比較研する。また、今まで同定されたβ-ラクタム剤の高度耐性化に関連する遺伝子(現在7 数個遺伝子が当研究で同定されている)との関係も追求する。 もう一つの課題は、他の菌種におけるゲノムの可逆的な逆位について調査である。ゲノム逆位は、他の菌種でもよく見られる現象であり、同様の逆位が起こっている可能性は十分に考えられる。また、本研究の実行中、新たにゲノム逆位がブドウ球菌の持続感染に直接関与しているエビデンスを発見したので、追求して行きたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用は、当初計画の通り、主に研究消耗品の購入と研究発表費に使う計画である。また、今年度は研究成果の発表(論文と学会発表)に積極的に取り組みたいので、当初計上した費用を少し変更する可能性がある。しかし、全体的な予算の枠は変更しないで実行して行きたい。
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Research Products
(4 results)