2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23570011
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Research Institution | Otsuma Women's University Junior College Division |
Principal Investigator |
竹内 知子(安東知子) 大妻女子大学短期大学部, 家政科, 准教授 (20294548)
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Keywords | RNA / 核局在 / 分裂酵母 |
Research Abstract |
遺伝情報は、遺伝子の本体であるDNAからRNAに写し取られて発現する。したがって、RNAの細胞内局在化は、遺伝子発現を時空間的に制御するための重要な現象である。本研究は、我々が発見した多数の新規細胞内局在化RNAのうち、核内のDNA領域に局在するRNA群について、局在化に必要なRNA配列や局在化機構を明らかにすること、および局在化の生理的意義を解明することを目的とし、局在化RNAの全貌解明に貢献することを目指している。本年度は平成23年度に引き続き、核内のDNA領域に局在する8個の新規局在化RNAのうち、B1199とF958の2つのRNAについて解析した。 平成23年度に、B1199の局在化配列をマーカー遺伝子につないで酵母の細胞に導入したところ、マーカー遺伝子の遺伝子産物(マーカー蛋白質)の発現が1/4程度に減少したことから、B1199の局在化配列の付加によってマーカー遺伝子由来のmRNAが核内に係留され、細胞質への移動が制限されることが示唆されていた。しかし、同じく平成23年度に、B1199の局在化配列を付加したマーカー遺伝子のmRNAの局在について、タグーGFP法およびin situ hybridization法を用いて顕微鏡下で観察したところ、核への顕著な局在を検出することはできなかった。本年度は、B1199の局在について、タグーGFP法で再確認を行なった。B1199を局在化RNAとして発見した当時とは、研究室が変わり主たる実験者も変わったので、再確認を行なったのであるが、B1199の顕著な局在化を観察することが困難であった。 F958については、ゲノム上の局在化配列の破壊を目指し、複数の方法で繰り返し試みたが、失敗した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験環境の変化もあり、過去の実験の再現性を確認することに苦労していること、また、遺伝子破壊を繰り返しても成功に至っていないことから、予定した計画よりも、進行状況はやや遅れている。いずれも、いまのところ原因は不明であるが、今後の取り組みによって挽回したいと考えている。 また、実験補助者の確保にも苦労し、実験補助者が不在の期間が長くなってしまったため、計画通りには研究が進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究実施計画 F958について、ゲノム上の局在化配列の破壊を目指し、方法を変えて再度挑戦する。F958の局在化配列破壊株の表現型を調べ、局在化の意義を解析する。さらに、F958の局在化機構についても解析を行なう。B1199については、局在化の検出について、条件を検討して行なう。 平成26~27年度の研究実施計画 F958の局在化機構について、解析を続行する。B1199とF958以外の残り6個の新規局在化RNAについて断片化を行ない、局在化配列を解析する。また、これらのDNA領域局在化RNAについて、局在化配列を比較し、長さや配列、予想される立体構造などに共通性がみられるか否かを検証する。さらに、各々の局在化RNAについて、その全長や局在化機構を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、謝金として635,000円を使用する計画であったが、実験補助者の確保に苦労し、適任者がなかなかみつからず、実験補助者不在の状況が長く続いた。結局、直接雇用を諦め、派遣会社から実験補助者を派遣してもらった。派遣会社への委託費として、344,138円を使用したが、実験補助の代金として予定していた予算との差額は290,862円であった。また、物品費も171,782円の使用を計画していたが、99,103円の使用に留まった。差額は72,679円であった。 今年度苦労の末に確保した優秀な実験補助者が、次年度も引き続き実験を手伝ってくれることになった。今年度の未使用額は、次年度以降、主として派遣会社への委託費として使用し、実験を進めたい。
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