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2012 Fiscal Year Research-status Report

サビキン有性生殖期の昆虫誘引における宿主植物利用

Research Project

Project/Area Number 23570021
Research InstitutionGifu University

Principal Investigator

三宅 崇  岐阜大学, 教育学部, 准教授 (00380569)

Keywords生物間相互作用 / 精子器 / 柄子蜜 / ナシ赤星病 / 昆虫誘引 / 蜜腺形成 / CRABS CLAW
Research Abstract

ナシPyrus pyrifolia(バラ科)の花およびナシに寄生するサビキンGymnosporangium asiaticumのペアと、センニンソウClematis terniflora(キンポウゲ科)とセンニンソウに寄生するサビキンPuccinia reconditaのペアを材料に、以下の結果を得た。
<揮発性成分について>寄主植物の花、寄主植物の未感染葉、およびサビキン感染部位(精子器形成部位)から揮発性物質をTwisterという吸着剤を用いて採取し、GC-MSで分析同定した。精子器部位から検出された揮発性物質は微量で、種数も少なかった。2種の精子器部位から、butanoic acidが共通して検出された。しかし、精子器部位から検出された揮発性物質の種数が先行研究と比べて相対的に少なく、セこれらのサビキンが媒介者を誘引するための誘引物質として匂いを利用している可能性は低いと考えられる。
<蜜分泌について>蜜腺形成に関与するCRABS CLAW (CRC) 遺伝子がサビキンの柄子蜜を分泌する精子器部位で発現しているかを調べた。RNAを抽出してcDNAを合成し、ナシおよびセンニンソウのCRC配列に基づくプライマーでPCRを行った。ナシに寄生するG. asiaticumの精子器部位ではCRC遺伝子の発現が見られた一方、センニンソウに寄生するP. reconditaの精子器部位ではCRC遺伝子の発現が検出されなかった。また、精子器部位で分泌している柄子蜜を採取し、超低温で保存しており、今後分析を行う予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

CRC遺伝子の発現解析では、最初に設計したプライマーではゲノムDNAを鋳型としていると思われる増幅が見られたため、イントロンをまたぐようなプライマーをいくつか試すなどをして、ようやくRNA増幅が確認できるプライマーが得られた。目下、センニンソウに寄生するサビキンの精子器でCRC遺伝子の発現が見られないのがサンプリングや固定の不手際なのかを検討する必要があり、翌年度はその点を改善したい。
揮発性物質の分析も、精子器付近のみから採取するのに適した方法を検討し、分析することができた。
蜜分析については、今のところ採取はできたものの、分析に至っていない。最新の機器ではアミノ酸と糖の定量分析が同時にできるので、できればこの方法を用いたいと考えており、分析依頼先を検討している。
蜜腺、発香腺の形態観察については今年度は進展がなかったが、電子顕微鏡観察について検討する機会があり、翌年度の実施に向けた準備を進めている。

Strategy for Future Research Activity

遺伝子発現解析に関して研究の進展が見られたナシ―G. asiaticumの比重を大きくして、研究を進める予定である。
<精子器の形態観察>精子器の切片観察については、電子顕微鏡業者委託により、本研究で採集・固定した精子器および花の蜜腺の試料から切片作成を行ってもらい、透過電顕像を得る予定である。この②サンプルを比較することで、柄子蜜の分泌様式を明らかにすることができると考えている。
<蜜腺関連遺伝子の発現解析>CRC遺伝子の発現について、本年はG. asiaticumの人為接種を行い、経時的な発現パターンを詳細に調べる予定である。そのため、ナシに感染する担子胞子を形成する際の寄主であるビャクシン上で冬胞子堆を採集し、担子胞子を形成させ、それを個体から切除した葉に接種し、実験室内でインキュベートすることで精子器形成を誘導する。精子器形成過程は実体顕微鏡下で毎日観察し、段階的に採集・固定し、発現解析を行う。本年度はRT-PCRにより、より定量的な発現解析を行う。また、ビャクシン上の冬胞子からDNA抽出を行い、G. asiaticum 自体がCRC遺伝子を保持するかどうかをPCR増幅により検討することで、発現の見られたCRC遺伝子の由来がナシであることを確認したい。また、G. asiaticumはナシに近縁なボケやカリン上でも精子器を形成するため、これらでも人為接種を行いCRC遺伝子発現解析を行う。これにより、CRC遺伝子発現がボケやカリンでも誘導されているのか、と、(CRC遺伝子の配列が寄主植物種間で異なる場合)CRC遺伝子がG. asiaticumのゲノムに由来していないことが確認できると考えている。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

透過電子顕微鏡観察の試料作成の委託の費用を予定している。また、RNA試料の固定法の検討、RT-PCRに関する費用として、委託料や、プライマーやその他試薬などにあらたに消耗品購入を検討している。また、人為接種に関する消耗品購入がみこまれる。加えて、DNAシーケンシングの委託料、成果発表旅費も予定している。

  • Research Products

    (2 results)

All 2013 2012

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] サビキンの有性世代における媒介者誘引メカニズムについて2013

    • Author(s)
      本田 薫, 三宅 崇
    • Organizer
      第60回日本生態学会静岡大会
    • Place of Presentation
      静岡県コンベンションアーツセンター(グランシップ静岡)
    • Year and Date
      20130305-20130309
  • [Presentation] サビキンの有性世代における媒介者誘引メカニズムについて2012

    • Author(s)
      本田 薫, 三宅 崇
    • Organizer
      第44回種生物学シンポジウム
    • Place of Presentation
      奥琵琶湖マキノパークホテル
    • Year and Date
      20121207-20121209

URL: 

Published: 2014-07-24  

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