2013 Fiscal Year Research-status Report
長命な林床草本の生涯追跡による適応度の変異の解析と個体群維持の機構
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23570032
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
河原崎 里子 首都大学東京, 理工学研究科, 研究員 (00450726)
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Keywords | 多年生草本 / 長期モニタリング / 個体群動態 |
Research Abstract |
寿命の長い多年生草本の長期モニタリングデータの解析を行うにあたり、本年度も野外データを蓄積した。福島県南会津郡南会津町の林内に設置したキク科林床草本クルマバハグマのプロットで、個体の生残、個体サイズ、個体生活史段階(無花個体、有花個体)、有花個体の場合には花の数を記録した。同時に、新規加入個体の記録(位置、および個体サイズ)を行い、個体群動態を把握するためのデータを蓄積した。同時に結実率と発芽率の年次変動を明らかにするために、個体群プロット外で、有花個体の結実率を調べた。結実期に花序をサンプリングして結実種子数、未熟種子数を数えることによって、結実率を求めた。昨年秋に最終した種子をプランターに播種したものからの発芽数を数え、発芽率を求めた。 クルマバハグマの栽培実験を行った。多年生草本の成長は地下貯蔵物質量に大きく依存するが、明るさの年次変動が成長にどのような影響を与えるか明らかにすることを目的とし、3段階の明るさ(相対照度50、7、1%)の被陰区で様々なサイズの個体を育て、秋に刈り取りを行い、開花の有無や各器官の乾燥重量を測定した。そのデータについては整理中である。 また、林床草本を主たる研究対象としていたが、草地性の比較的明るい環境に生育する草本植物種(ユリ属)の個体群についても比較対照として、データを収集し始めている。福島県南会津郡只見町にヒメサユリ、および、ヤマユリの個体群を設置して、個体群の構造ないし動態のデータをとった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多年生林床草本クルマバハグマ個体群の個体群調査、および、種子発芽試験を野外で例年通り行い、データの蓄積を順調に果たしている。また、栽培実験を終えて、データ解析中である。比較対照として、明るい場所を好むヒメサユリおよびヤマユリについてのデータの蓄積も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
野外個体群動態のデータについては、クルマバハグマ、ユリ属について、それぞれ蓄積を進める。個体群動態のデータの蓄積は順調に行われてきているが、今後も続けて可能な限り長期のデータセットを揃える。今後、解析方法について、検討し、論文化を進める。 栽培実験について、データ解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
環境測定センサー類の故障、買いたしを見込んで予算を組んでいた。より多くの項目を測定できる機種で比較的安価なものを買いたししたために、物品費で予算超過した。一方、今年度は実験補助などの人件費および論文英文校閲を予定していたが、実験は独力で出来たため、不要だった。また、論文英文校閲もまだ使用していない。全体としては、持ち越しとなった。 調査および学会出張のための旅費、物品費、英文校閲費を含む謝金等としての使用を考えている。
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