2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23570034
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
江副 日出夫 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (90275230)
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Keywords | 数理モデル / 相利 / 寄生 / 花の中絶 / ギルド内捕食 |
Research Abstract |
多様な共生系のダイナミクスを明らかにするため、主に以下の3つの小課題に関して理論的研究を進めた。 1. 1個体の宿主個体と、潜在的に複数の共生者個体の間の非対称な相利共生(1対多相利共生)の進化的安定性。23年度に国際学術雑誌に投稿・掲載されたモデル(Ezoe 2012)を拡張し、宿主側の進化を考慮した共進化モデルを解析した。突然変異率がある程度小さくても相利共生は進化的に安定に維持されうるが、多くの場合、純粋な相利共生関係よりも、しばしば共生者側の寄生者および宿主側の非選択個体が共存しうるということが明らかになった(論文投稿準備中)。 2.送粉相利共生系における、植物側の花および果実生産に関する最適戦略。多くの植物でみられる過剰な花の生産と中絶という一見無駄な現象の適応的意義を、種子捕食者に対する種子の防衛戦略という観点から数理的に解析した。植物が繁殖に投資できる資源が多く種子捕食者の密度が小さい場合には過剰な花を生産して中絶する利益は非常に小さいが、資源が少なく種子捕食者が多い場合には、中絶の利益が大きくなることがわかった(現在研究中)。 3. ギルド内捕食(IGP)系における被食者の適応的防御の効果。IGP系において、基底被食者が中間捕食者および最上位捕食者に対して適応的な防衛行動をとる場合、系の動態がどのような影響を受けるかを解析し、適応的防御は系を安定化する傾向があることを示した。これを生物的防除の系に適用し、害虫である基底被食者を防除するためにIGPの関係にある2種の天敵を導入すべきかどうかを検討した。従来の理論的研究と異なり、基底捕食者が適応的防御する場合は、2種導入したほうが害虫の平衡密度を抑制できる場合があることを示した(池川雄亮、難波利幸(本学大学院理学系研究科教授)との共同研究、論文2本を投稿中)。
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