2011 Fiscal Year Research-status Report
適応的な表現型可塑性間の環境依存的な配分に関する研究
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23570036
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
道前 洋史 北里大学, 薬学部, 助教 (70447069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸田 治 北海道大学, 学内共同利用施設等, 助教 (00545626)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 表現型可塑性 |
Research Abstract |
本研究の最終目的は表現型可塑性間(攻撃形態と防御形態)の発現バランスが選択圧の影響を受け集団間で変化しているのかどうかを、室内飼育実験と野外飼育実験で検証することである。 平成23年度においては室内飼育実験で攻撃形態と防御形態の発現バランスを調べることであった。この室内飼育実験に加え、本研究の最終目的に有用な情報を提供すると期待できるDNA配列データの解析と室内飼育補助実験も行った。DNA配列データの解析では事前調査で選定した生息地を対象に遺伝的な個体群構造を解明することが目的である。室内飼育補助実験では攻撃形態に密接に関わっている他の表現型可塑性(両生類の幼生期間)に着目し、その進化プロセスを解明することが目的である。 生息地を対象にした個体群構造については、北海道全域の28地点から標本を採取し、ミトコンドリアDNA調節領域の部分塩基配列を解析した結果、道央+道北+道東、えりも、道南の地理的に明確な3グループとして分かれた。グループの分化は百万年前以降に起こっており、種の成立(850万年~4000万年前と推定)よりもずっと後であることが示唆された。今後この結果を参考に遺伝的に独立した集団を用いた表現型可塑性間(攻撃形態と防御形態)の発現バランスを調査することとした。 攻撃形態と防御形態の室内飼育実験における発現バランスについてはデータ数の不足から、確定的な発現バランスが得られなかった。24年度は23年度の結果を参考に室内飼育実験と野外飼育実験を行うこととした。 両生類の幼生期間は同種を食することで短縮化された。攻撃形態が同種を捕食するのに適した形態であることを考慮すると、この結果は同種を捕食しなければならないほどの餌不足であるときに、幼生期間を出来るだけ早く終わらせるための適応であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度では室内飼育実験において攻撃形態と防御形態の発現バランスを調べることであったが、データ不足のため確定的な発現バランスが得られず、再実験が必要となった。しかし平成24年度では室内飼育実験と野外飼育実験を行うため、遅れを取り戻すことが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度では室内飼育実験と野外飼育実験を9月までに行う。その後データを整理・解析を行い、平成25年度中に専門誌への投稿を計画している。平成25年度の野外飼育実験では、平成23年度の研究結果から得られた個体群構造を参考に、遺伝的に独立した集団を用いた表現型可塑性間(攻撃形態と防御形態)の発現バランスを調査することとした。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
分担研究者の所属先(北海道大学北方圏生物フィールド科学センター)では既に研究に必要な物品がそろっていること、旅費については前年度の繰越金を用いることで、平成24年度の助成金額1,700,000円は研究員または研究補助員の雇用にあて、本研究課題の推進を図る。
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Research Products
(2 results)