2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23570039
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
香取 郁夫 近畿大学, 農学部, 准教授 (00319659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大村 尚 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (60335635)
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Keywords | モンシロチョウ / 嗅覚学習 / 弁別学習 / 報酬学習 / 花香 / フェニルアセトアルデヒド / メチルプテノン |
Research Abstract |
モンシロチョウに嗅覚学習の能力があるかどうかを実験的に検証した。 実験で用いた人工花の色は、前年度実験結果より青のみを用いた。また、人工花の匂いは同じく前年度実験結果よりメチルヘプテノンとフェニルアセトアルデヒドを用いた。この実験はチョウの各個体にトレーニング前テスト、トレーニング、トレーニング後テストの3つの過程を1回ずつ行った。以下トレーニングにおいて匂いと溶液の組み合わせ方が異なる2種類の実験を行った。 実験1:トレーニング前テストで2種類の人工花(青+メチルプテノン)、(青+フェニルアセトアルデヒド)を報酬や罰なしの状態でチョウに提示し、各個体5訪花選択させ、これを生得的選好性として記録した。トレーニングでは、匂いと溶液がともに異なる2種類の人工花(青+メチルヘプテノン+報酬(蜜))、(青+フェニルアセトアルデヒド+罰(塩水))を3日間自由に訪花させた。トレーニング後テストではトレーニング前テストと全く同じ方法で各個体に5訪花させ記録した。 実験2:実験1の対照実験としてトレーニング過程において(青+フェニルアセトアルデヒド+報酬)、(青+メチルヘプテノン+罰)の2種類の人工花を用いてトレーニングを行った。トレーニング前テスト、トレーニング後テストについては、実験1と全く同様である。 実験1の結果、トレーニング前と比べ、トレーニング後にメチルヘプテノンへの訪花率が上昇した。実験2の結果、トレーニング前と比べ、トレーニング後にフェニルアセトアルデヒドへの訪花率が上昇した。反復測定ANOVAを行った結果、トレーニングの効果のみが有意となり、性、匂い、及び3要因間の相互作用はすべて有意ではなかった。 これらの結果から、モンシロチョウは訓練により報酬とセットになっていた匂いに対して選好性を上昇させた。つまり、花の匂いを学習したことが実証された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の計画はほぼ予定通り進んだが、前年度の遅れを取り戻すほどではなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の実験では、モンシロチョウが花の匂いを学習することを初めて実証できた。ただし、今回の実験系では蜜あり(報酬あり)と塩水あり(罰あり)の2種類の人工花を同時に用いてチョウをトレーニングする、いわゆる弁別学習実験のスタイルをとった。しかしこれでは、チョウが報酬学習のみ行ったのか、報酬学習と罰学習の両方を行ったのか識別することができない。 従って次年度最初の実験では、報酬ありの人工花のみを条件づけに用いることで花の匂い学習が起こるかどうかを再びテストする(実験3)。 さらに、チョウは花の色と匂いの2モードの情報を用いて効率的に訪花しているかを調べるために、2モード学習実験を行っていく。具体的には、色と匂いの両方の異なる花間の識別は、匂いは同じで色の異なる花間の識別より学習が容易かについて検証していく(実験4)。さらに、匂いは同じで色の異なる花間の識別は、匂いなしで色の異なる花間の識別より学習が容易かについても検証していく(実験5)。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究課題遂行の最終年度にあたって、実験の遅れなどから、予定する実験が立て込み、本来チョウの野外における活動が不適となる盛夏(7,8月)においても野外小型ハウス内で実験を行う必要が生じたため、ハウス内を冷却する装置の購入が必要となった。そのため当該年度の所要額の一部を次年度に繰り越すこととなった。
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Research Products
(1 results)