2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23570039
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
香取 郁夫 近畿大学, 農学部, 准教授 (00319659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大村 尚 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (60335635)
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Keywords | モンシロチョウ / 報酬トレーニング / 学習速度 / 2モード情報 / 人工花 / メチルヘプテノン / フェニルアセトアルデヒド |
Research Abstract |
本研究では、チョウが花から提供される視覚と嗅覚の2モードの情報を同時に利用して効率よく訪花学習することが可能かどうかを検証した。 最初の実験では、モンシロチョウが、匂い学習するのかを確かめた。実験の結果、モンシロチョウは報酬と罰のトレーニングにより報酬とセットになっていた匂いの人工花に対して選好性を有意に上昇させた。つまり、花の匂いを学習したことが実証された。 次の実験では報酬のみでトレーニングを積んでもチョウは匂い学習できるのかを検証した。実験の結果、モンシロチョウは報酬トレーニングだけでも報酬とセットになっていた匂いに対して選好性を有意に上昇させた。つまり、花の匂いを報酬学習したことが実証された。 最後の実験では、「色と匂いの2モードで情報の異なる花間の識別は色の1モードのみで情報の異なる花間の識別より容易か、つまり学習速度が速いのか」について検証した。 この実験では、人工花の匂いとして前回実験で用いた2種類の成分を用い、人工花の色として紫と青を用いた。この実験は、個体ごとに合計4回のテストと3回のトレーニングを行った。そしてテスト過程において選択させる2種類の花間で、色だけの1モードが異なる(匂いは同じ)実験Aと、色と匂いの2モードで異なる実験Bを行った。その結果、両方の実験で、トレーニング回数が増えるにつれ、トレーニング中報酬のあった人工花に対する訪花率が上昇したが、実験Aよりも実験Bの方が、学習速度が高い傾向が見られ、学習速度の差も有意であった。以上の結果から、チョウもマルハナバチ同様に花から得られる多モード情報を同時に学習することで花間識別能力を高め、より効率的に訪花吸蜜していることが分かった。
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