2013 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物の胚発生に関わるエピジェネティック因子の柤互作用と発現調節機構の解明
Project/Area Number |
23570045
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鎌田 博 筑波大学, 生命環境系, 教授 (00169608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 彰 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (00400648)
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Keywords | 胚発生 / エピジェネティクス / 成長相転換 |
Research Abstract |
生物の発生や形態形成にヒストン修飾やDNAメチル化と言ったエピジェネティックな遺伝子発現制御が重要な役割を果たすことが明らかになりつつあり、様々な生物種を用いた研究から、遺伝子の発現制御に関わっているかが徐々に明らかになってきた。胚発生のモデル植物であるニンジンを用いた研究では、胚発生の進行に応じて起こるcLEC1遺伝子の発現変動に5'上流域のDNAメチル化が支配的であることが明らかとされていた。本研究の平成23、24年度の研究成果より、体細胞が胚的な細胞へと成長相の転換を起こす際に、細胞分裂により新しい性質を有する胚的な細胞が産み出されるのではなく、体細胞がストレス等の何らかの条件により変化することを突き止め、その際にcLEC1遺伝子の一過的発現上昇が起こることを明らかにした。そこで、最終年度の平成25年には、cLEC1遺伝子の5'上流域のDNAメチル化の変動を明確にした。その結果、cLEC1遺伝子が発現ピークを迎える際に一過的に5'上流域のDNAメチル化が上昇していることを突き止めた。また、この際のDNAメチル化の一過的上昇は、CxG部位と非対称のCHH部位にあるシトシンのメチル化が大きく変化していることに起因し、CG部分のメチル化には大きな変化が起こっていなかった。以上の結果から、体細胞が胚的な細胞に変化する際には、細胞分裂により新生細胞が産み出されるのではなく、細胞分裂を経ずにDNAのメチル化が変更されることによりcLEC1遺伝子の発動が誘起され細胞の性質が胚的なものへと変化したことを示唆している。そして、このようなセルフリニューアルが引き起こされる際には、DRM等と言ったde novo型のメチル基転移酵素が働き、DNAのメチル化状態を変化させ、遺伝子の発現パターンを変更することにより、新たな性質を付与していることが強く示唆された。
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