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2012 Fiscal Year Research-status Report

光合成電子伝達のセンシングによる転写制御機構の解明

Research Project

Project/Area Number 23570047
Research InstitutionSaitama University

Principal Investigator

日原 由香子  埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60323375)

Keywordsチオレドキシン
Research Abstract

光合成生物において環境変動を光合成電子伝達活性の変化として検知し、転写制御を行う機構が知られているが、その制御に働く因子に関する知見は少ない。申請者はこれまでにシアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803から、チオレドキシンと相互作用して光合成電子伝達に依存した転写制御に働く転写因子PedRを同定した。光合成電子伝達に依存した転写制御へのチオレドキシンの関与が大きくクローズアップされたことを受け、チオレドキシンと相互作用する転写因子のスクリーニング系を確立した。この系では、活性部位のシステインをセリンに置換したC35SチオレドキシンをS-タグ付きで、スクリーニング対象の転写因子をHis-タグ付きで大腸菌内で共発現させ、SプロテインおよびHisタグ抗体を用いてチオレドキシンと転写因子の複合体を検出する。平成24年度は、システイン残基の保存性が高い転写因子を候補としてスクリーニングを進めた。ポジティブコントロールであるPedRでは大腸菌内でチオレドキシンとの複合体が検出されたが、転写因子Slr1871は5つのシステイン残基を持つにも関わらず複合体は検出されなかった。また、強光下で光化学系量比調節に関わる転写因子Sll1961では大腸菌内でチオレドキシンとの複合体が検出されたため、精製C35Sチオレドキシンと精製Sll1961間の相互作用を調べたところ、僅かながら複合体が検出された。今後はSynechocystis細胞内で実際にSll1961とチオレドキシンの相互作用があるか検証する予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の目的である、チオレドキシンと相互作用する転写因子のスクリーニング系の確立は達成できた。このスクリーニング系を用いてこれまでに23種の転写因子に関してチオレドキシンとの相互作用を調べたところ、6種において相互作用が検出され、9種においてはされなかった。相互作用の有無はシステイン残基の数にはよらないことから、このスクリーニング系において、チオレドキシンと特定のシステイン残基との相互作用を検出できているのではないかと推定される。また、すでにチオレドキシンと相互作用する転写因子として同定されているPedRに関してはこのスクリーニング系においても明らかに相互作用が検出された。
次にこのスクリーニング系において検出された相互作用が、精製タンパク質同士で検出されるかどうか、またシアノバクテリア細胞中で検出されるかどうかを検証していく必要がある。前者に関しては、強光下での光化学系量比調節に関わる転写因子Sll1961とチオレオドキシンとの相互作用を確認することができたが、シアノバクテリア細胞内での相互作用に関しては、現在変異型チオレドキシンを発現するシアノバクテリア株を作製中である。変異型チオレドキシンの発現レベルが不安定であるのが現在直面している問題であり、この株の確立、およびこの株にて各転写因子とチオレドキシンとの相互作用を調べるのが今後の主要な課題となるであろう。

Strategy for Future Research Activity

活性部位のシステインをセリンに置換したC35SチオレドキシンをSynechocystis sp. PCC 6803株内で発現させ、大腸菌スクリーニング系において相互作用が検出された転写因子と変異型チオレドキシンとの相互作用の検出を試みる。変異型チオレオドキシンの発現を確実に行うために、誘導型プロモーターの使用を検討する。また、転写因子の細胞内存在量が少なく検出が難しい場合には、過剰発現を行う必要があるかもしれない。
シアノバクテリア内でも相互作用が検出された転写因子については、標的システイン残基を置換した場合に、その表現型がどのような影響を受けるか調べ、この転写因子とチオレドキシンとの相互作用の生理的意義を明らかにする。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

タンパク質精製のためのカラム・樹脂、抗体類、遺伝子への変異導入キット等の消耗品の購入が次年度の研究費の主な使途となる。

  • Research Products

    (3 results)

All 2013 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Acclimation to high-light conditions in cyanobacteria: from gene expression to physiological responses2012

    • Author(s)
      Muramatsu M and Hihara Y
    • Journal Title

      Journal of Plant Research

      Volume: 125 Pages: 11-39

    • DOI

      10.1007/s10265-011-0454-6

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC6803 におけるチオレドキシンと相互作用する転写因子の探索2013

    • Author(s)
      門脇太朗、原怜、野亦次郎、久堀徹、日原由香子
    • Organizer
      第54回日本植物生理学会年会
    • Place of Presentation
      岡山(岡山大学)
    • Year and Date
      20130321-20130323
  • [Presentation] Elucidation of mechanisms of transcriptional regulation dependent on thioredoxin in the cyanobacterium Synechocystis sp. PCC 68032012

    • Author(s)
      Taro Kadowaki, Toru Hisabori, Yukako Hihara
    • Organizer
      14th International Symposium on Phototrophic Prokaryotes
    • Place of Presentation
      ポルトガル(ポルト)
    • Year and Date
      20120805-20120810

URL: 

Published: 2014-07-24  

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