2013 Fiscal Year Annual Research Report
表在性タンパク質の脂質修飾と光合成の高温耐性に関する研究
Project/Area Number |
23570049
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
水澤 直樹 法政大学, 生命科学部, 准教授 (80342856)
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Keywords | 光化学系2 / 光合成 / 高温ストレス / シアノバクテリア / 脂質 |
Research Abstract |
1.高温耐性に関係する脂質分子と光化学系反応中心の結合部位の解析 私達は光化学系II(PSII)に結合する脂質であるホスファチジルグリセロール(PG)やジガラクトシルジアシルグリセロールを欠損させると、光合成の熱感受性が上がることを報告している。しかし、PSII上にはこれら脂質分子が複数結合することが推定されており、これら変異株を用いた解析では、PSII上のどの脂質分子が熱感受性に関係するかを明らかにすることができなかった。本研究では、PSIIにおいて各PG分子と相互作用しているタンパク質のアミノ酸残基を特定し、それらのアミノ酸残基を別のアミノ酸残基に置換したSynechocystis sp. PC6803 変異株を作製した。変異株の細胞ではPSIIの酸素発生活性や電子伝達活性が影響を受けており、また、PSII電子受容体であるp-ベンゾキノンを添加することにより、還元型QAからQBへの電子伝達の阻害が起こることが観察された(この特性はPG欠損株と同じであった)。さらに、変異株の中には酸素発生活性の熱感受性が上がるものがあった。精製したPSIIの単量体と二量体について、タンパク質組成や活性なども解析した。それらの結果、PG分子との結合部位の改変がPSIIの熱安定性に影響を与えることが明らかになった。 2.光化学系II(PSII)標品の精製と表在性タンパク質の解析 乾燥・高温条件で耐性を示すAnabaena sp. PCC 7120の光合成装置の特性を解析するために、昨年度から作製を進めていたAnabaena のPSII構成蛋白質の1つCP47のC末端にHis-tagを付加した株が完成した。本Anabaena細胞を用いて、細胞破砕後、チラコイド膜を分画遠心で回収し、膜を界面活性剤ドデシルマルトシドで可溶化し、PSIIをNi-カラムクロマトグラフィーを用いて精製することを試みている。
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