2011 Fiscal Year Research-status Report
シロイヌナズナの有性生殖過程における小胞体分子シャペロン依存型核膜融合機構の解析
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23570051
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西川 周一 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10252222)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 小胞体 / 分子シャペロン / 核膜融合 / 有性生殖 |
Research Abstract |
研究代表者らは、シロイヌナズナの雌性配偶体形成時の極核融合に、小胞体の分子シャペロンHsp70であるBiPの機能が必要であることを見いだした。本研究では、BiPを足がかりに、極核融合の分子機構の解明を目指している。本年度は、BiPの制御因子である小胞体Jタンパク質の変異株の解析を進め、電子顕微鏡解析によって、AtERdj3AとAtP58IPKが核外膜の融合、AtERdj3BとAtP58IPKが核内膜の融合に機能していることを明らかにした。また、野生株およびこれら変異株における極核融合過程を解析するため、これらの株の中央細胞で核局在型GFP、核膜局在型GFPまたはtubulin-RFPを発現するラインを構築した。 平成24年度以降の極核融合変異株のスクリーニングのため、中央細胞で核局在型GFPを発現する野生株を変異源処理した。これを元に、約100個体からM2種子のプールを10プール作製した。同時に、酵母two hybrid用いた、小胞体Jタンパク質と相互作用するタンパク質のスクリーニングも開始した。まず、酵母Jem1pと相互作用し、接合時の核膜融合に必要なタンパク質Nep98pのシロイヌナズナホモログについて、シロイヌナズナ小胞体Jタンパク質との相互作用を検討したが、相互作用を示唆する結果は得られなかった。このことは、酵母接合時の核融合と極核融合の分子機構が異なることを示唆している。また、シロイヌナズナ野生株の花芽から調製したmRNAを元に、two hybridスクリーニング用ライブラリの構築を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小胞体Jタンパク質に関する変異株の解析によって、BiPが極核の核外膜融合と核内膜融合の2回の膜融合過程に機能していることを示したことは、ひとつの進展であったといえる。また、24年度以降に行う変異株スクリーニング、two hybridスクリーニングの準備ができたことから研究は着実に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していたライブイメージングによる解析は、研究代表者の所属変更により、解析のためのセットアップを再度行う必要が出てきた。このため、本年度はまず、遺伝学的な解析を中心に進めることで、当初の目的が達成できるように努める。ライブイメージングによる解析は、今年度後半以降に開始できるように、早期のセットアップに努めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の大部分を、消耗品購入のための物品費として利用する。また、成果発表のための旅費、および投稿論文の英文校閲費および論文投稿料として利用する。
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