2013 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナの表皮細胞分化を制御する転写因子の機能解析とトマトへの応用
Project/Area Number |
23570057
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
冨永 るみ 広島大学, 生物圏科学研究科, 講師 (20373334)
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Keywords | 植物 / 発現制御 / バイオテクノロジー / 発生・分化 |
Research Abstract |
本研究は、植物の表皮細胞分化制御機構を、転写因子の機能解析を中心に明らかにしようとするものである。シロイヌナズナの根毛、トライコーム形成を制御するCPCファミリー遺伝子が、どのような働きによって形態形成を調節しているのか、その機構の解明を目指した。また、栽培植物への応用を目指し、トマトでのCPCファミリー遺伝子の機能及びオーソログの機能解析を行った。本研究の成果は、以下のとおりである。 1、トマトのCPCオーソログ遺伝子の機能解析。CPCファミリー遺伝子に配列の似た、トマトのオーソログ遺伝子の候補をピックアップし(SlTRYと命名)、配列を手掛かりに、マイクロトムのcDNAライブラリーから増幅し、バイナリーベクターであるpCHF3プラスミドの35Sプロモーターの下流にクローニングした。このトマトSlTRY遺伝子を過剰発現させたシロイヌナズナ形質転換体を解析した結果、CPCと同様の根毛を増やし、トライコームを無くす機能があることを明らかにした。また、SlTRY過剰発現体のアントシアニン量を測定したところ、野生型よりもアントシアニンの蓄積が減っていることがわかった。そこで、SlTRY遺伝子は、アントシアニンの蓄積にも関与していると結論した。 2、cpc cpl3, try cpl3 二突然変異体の解析。cpl3 突然変異による早咲きの表現型は、cpcあるいはtry遺伝子の突然変異により打ち消されることを示唆すデータを示した。 以上の結果を利用することで、将来、根毛やトライコーム、アントシアニン量の改変による養分吸収や耐病虫害性に優れた作物作出が期待できる。
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Research Products
(4 results)