2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23570059
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
伊藤 竜一 琉球大学, 理学部, 准教授 (50322681)
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Keywords | 植物 |
Research Abstract |
植物細胞において、葉緑体はその中央で均等分裂することにより、ほぼ同サイズ・同形態の葉緑体を一定の個数まで増殖させる。葉緑体が自らの中央を認識するために必要なタンパク質としてミンタンパク質などが知られているが、中央認識の分子レベルでの原理は未解明である。いっぽう,非緑色のプラスチドの形態は,葉緑体とは全く異なる複雑かつ不均一な形態をとり,ダイナミックな時間変化を見せることが知られている。特に,非緑色プラスチドにおいて最も顕著な形態形質は,プラスチド本体から伸びる細管状構造「ストロミュール」の高度な発達である。申請者は前年度,非緑色プラスチドの形態変異体2種を新たに取得し,それぞれ原因遺伝子候補を2~3遺伝子に絞りこんだ。本年度は,これらの変異体およびその原因遺伝子について,更に研究を進めた。その結果,一方の変異体の原因遺伝子(no. 6)は,葉緑体分裂に関わる既知遺伝子であることが判明した。他の葉緑体分裂変異体との比較解析から,葉緑体分裂に関わる遺伝子群の,非緑色プラスチドの形態制御への関与の程度はさまざまであり,非緑色プラスチドの形態制御には関与しないものから,弱く関与するもの,強く関与するもの,などに分けられることがわかった。no. 6は強く関与するタイプであり,特にストロミュール形成に大きな影響を及ぼしていた。もう一方の変異体の原因遺伝子(no. 3)は機能未知の新規遺伝子である可能性が高くなった。no. 3変異体の葉緑体形態は正常であることから,no. 3遺伝子は,非緑色プラスチド特異的に形態制御に関与する,これまでに報告例のないタイプの遺伝子と考えられる。
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